システムアーキテクトとは、IT業界の上級職に位置している職業です。この記事では、システムアーキテクトの概要や必要なスキル、エンジニアとの違い、資格試験の内容や合格率について解説します。
システムアーキテクトは、プログラマーやシステムエンジニアなどと同じく、IT業界における職種のひとつです。システムアーキテクトはIT業界の上級職とされていますが、実際にどのような仕事をしているのか知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、システムアーキテクトの概要や必要なスキル、エンジニアとの違い、システムアーキテクトになるための資格試験の内容や合格率について解説します。
目次
システムアーキテクトとは、システム開発において情報システムやツール、ソフトウェアの設計や実装をおこなう職業です。
「アーキテクト」は、建築士や建築家、設計者という意味があり、IT業界では技術者のことを指します。クライアントからシステム要件や構築したいシステムについてヒアリングし、クライアントの要求を踏まえたシステム設計・構築をおこなうことがシステムアーキテクトの仕事です。
そのため、IT業界の中でもシステムアーキテクトは、プログラマーやシステムエンジニアよりも上位の職種だといえるでしょう。
システムアーキテクトになるためには、国家資格を取得する方法があります。しかし難易度は高く、令和元年秋におこなわれた同資格試験の合格率は約15%です。
試験難度が高いだけあって資格を所持するメリットは大きいため、将来的にシステムアーキテクトを目指している方は、ぜひ資格取得にチャレンジしてみてください。
システムアーキテクトとエンジニアは、どちらもシステムの設計・構築をするという点では共通しています。しかし、この2つの職種における仕事の違いは、システム全体の設計に関わるかどうかであり、システムアーキテクトのみ全体設計に携わるのです。
エンジニアは基本設計や詳細設計をもとにプログラミングをおこない、システムを実装していきます。それに対してシステムアーキテクトは、エンジニアが設計のもとにする「基本設計」作りを担当します。
システムを設計する際は、クライアントからヒアリングしたうえでの課題解決が必要です。クライアントの要望を汲み取ったうえでルールや基本設計を作成していかなければ、エンジニアの仕事にも支障が出てしまうでしょう。
このように、システムアーキテクトはシステム設計全体に関わる、重要度の高い仕事だといえます。
システムアーキテクトの主な役割は、クライアントのヒアリングとシステムの基本設計やプロジェクトの管理です。
初期段階からプロジェクトに関わるため、必然的にプロジェクトの中心メンバーとなり、開発側とクライアント側との架け橋を担うことになります。
また、システムアーキテクトはシステムの設計だけでなく、クライアントのビジネスに大きく影響する業務もこなさなければなりません。具体的には、制作スタッフの進捗管理やトラブル対応、コミュニケーションの構築などであり、プロジェクト全体を支える必要があります。
プロジェクトにおいて重要な役割を担うため、システムアーキテクトはプレッシャーがかかる職業であるものの、そのぶん大きなやりがいも感じられる仕事だといえるでしょう。
システムアーキテクトには、以下のようなITに関して幅広く、かつ深い知識や技術が必要です。
それぞれ詳しく解説していきます。
システムの基本設計がシステムアーキテクトの主な業務となるため、システムの設計技術や知識は必須です。クライアントの要望を詳しくヒアリングして、システムを設計する必要があります。
システムアーキテクトは、エンジニアやプログラマーからキャリアアップするケースも多く、システムの設計技術をすでに身につけている方もいるでしょう。
しかし、システムアーキテクトには高い技術や深い知識が常に求められるため、常に新たな技術を習得し続けることが重要です。
システムアーキテクトはシステムの設計技術だけではなく、システム全般に関する知識も必要です。
インフラでトラブルが発生した際もシステムアーキテクトが対応するため、OSやネットワーク、サーバなどさまざまな知識がなければ対応できません。
システム全般の知識が欠かせないのが、システムアーキテクトです。なるべく幅広い事態に対応できるよう、できるだけ多くの知識を蓄えておく必要があります。
システムアーキテクトは、プログラミングの技術や知識も必要です。
システムの設計が主な業務のため、プログラミングをおこなう場面はあまりありませんが、言語の仕様は把握しておく必要があります。言語仕様が理解できていれば、「どの言語で開発するべきか」「この言語で開発した際の納期はどのくらいになるか」など、さまざまなケースに対応できるのです。
また、急なトラブルが発生した際にプログラムを修正するケースが想定されるため、システムアーキテクトにもプログラミングの技術は必要不可欠といえるでしょう。
コミュニケーション能力も、システムアーキテクトには欠かせません。
開発側と顧客側の架け橋になり、クライアントの要望を聞き出したり、入念な打ち合わせをしたりする必要があります。また、開発チーム内でもシステムアーキテクト自らがチームと深く関わり、常に密なコミュニケーションを取る姿勢が重要です。
システムアーキテクトはクライアントと開発チーム、双方と十分なコミュニケーションを取ることにより、業務を推進していくことが求められます。
システムアーキテクトには、マネジメント能力も求められます。
システムを設計するだけではなく開発を取り仕切り、クライアントの急な要望変更などにも対応しながら、クライアントが使いやすいシステムを納品する必要があるのです。
システム開発の現場では、イレギュラーな問題の発生が多々あります。そのため、システムアーキテクトには、臨機応変にプロジェクトをマネジメントしていく能力が求められるのです。
マネジメント能力が十分に備わっているシステムアーキテクトであれば、システム開発を常に最適な状況に保てるでしょう。
システムアーキテクトには、IT業界全般の幅広い知識が必要です。
業界フローや業界特有の慣習に対しての知識があれば、「クライアント側で運用しやすいシステム開発ができる」「既存の運用に沿ったシステムを設計できる」などといったメリットにつながるでしょう。
システムはクライアントの要望だけでなく、業界全体や実際の開発現場の進捗具合を見て設計を進める力が求められます。
システムアーキテクトに求められるのは、システム設計やプログラミングといった技術だけではありません。顧客のビジネスモデルを深く理解することが、顧客にとって最大限の利益となるシステム設計の実現につながるのです。
システムアーキテクトに関する資格には「システムアーキテクト試験」があり、ここでは以下の3つのポイントで解説します。
システムアーキテクト資格試験の受験を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
システムアーキテクト試験は、経済産業省認定の国家資格である、情報処理技術者試験の試験区分のひとつです。受験に必要な条件はなく、だれでも受験できます。
試験ではシステムの設計や開発の上流工程を担当する、システムアーキテクトに必要な知識が問われるため、システムアーキテクトになるには必須の資格とされています。
「高度区分試験」に該当するため難易度は高いですが、IT系の資格の中でも人気がある資格であり、取得することでさまざまなメリットが得られるでしょう。
システムアーキテクト試験は全国62都市で実施されており、受験料は7,500円(税込)、インターネットから申し込んで受験可能です。
試験は午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの4項目あり、午前は選択式、午後は記述式の問題が出題されます。
ここからは、上記4項目の出題内容について、さらに詳しく見ていきましょう。
午前Ⅰでは、試験で定番となっている問題を中心に出題されます。そのため、過去問での学習が効果的です。午前Ⅱは午前Ⅰよりも専門的な問題が多く出題されるため、より深い知識が問われます。「システム開発技術」や「情報セキュリティ」など9分野が出題範囲であり、幅広く学習しておく必要があるのです。
午後Ⅰは記述・論述問題です。大問4つの中から2問を選び、短めの文章で回答していきます。問題文はかなりの長文となっているため、まずは設問から先に読むことで問題文全体の内容を把握しやすくなるでしょう。
午後Ⅱも記述・論述問題ですが、午後Ⅰとの違いは長文で回答する必要があることです。長文での回答は日頃から文章を書きなれていないと難しいため、文章を書く練習をしておくとよいでしょう。
システムアーキテクトは非常に難易度の高い試験であり、IPA(情報処理推進機構)が設定する資格難度レベルでも、最大のレベル4となっています。
そのため合格率も低く、毎年の平均合格率はわずか15%程度です。合格には相応の努力が必要となるでしょう。
過去問に似た問題が出題されるケースがあるため、参考書で必要な知識やポイントを把握しつつ、過去問も多く解いておくのがおすすめです。
システムアーキテクト試験は難易度の高い国家試験ですが、合格できれば以下のようなメリットがあります。
それぞれ解説します。
システムアーキテクト試験を取得することで、システムアーキテクトに必要な構築・設計技術やシステム・業界知識を持ち合わせていることを客観的に証明できます。
多様な知識・技術を持ち合わせている人材は少なく、需要も高いです。資格を取得することで年収アップも期待できるでしょう。
システムアーキテクトは、クライアントの要求を盛り込みつつ、まだ具体性のないシステムの概要を決めていかなければなりません。構築プロセスを明確にし、どのようなシステムを実現できるかを考え、現実的な設定に落とし込むことも要求されます。
資格を取得することで、これらの技術を持ち合わせていることが証明できれば、技術者としての信頼性が高まってより業務の幅が広がるのです。
信頼性が高まれば上流工程の仕事を任されやすくなるため、年収アップにつながりやすい点もメリットといえるでしょう。
実務経験の豊富なシステムアーキテクトは少ないうえに資格の取得も難しいため、就職や転職では資格を保有していること自体が大きな武器となります。さまざまな知識やスキルの保有が証明できる資格であるため、就職や転職に有利だというわけです。
ビジネスやマネジメントに関する知識や経験もアピールできるため、就職後はプロジェクト全体の管理や、社内外の交渉役を任されるなど、重要な役割も担うことも多いでしょう。
また、IT系の試験だけでなく「弁理士」や「中小企業診断士」を取得する際も一部の科目試験が免除されるなどといった、豊富なキャリアプランを選択できる点も魅力です。
今回の記事では、システムアーキテクトの概要や必要なスキル、エンジニアとの違い、資格試験の内容や合格率について解説しました。
システムアーキテクトは市場価値が高く、重要なプロジェクトを任されるケースも多いため、やりがいを感じられる職業のひとつです。
システムアーキテクト試験は難易度が高く、取得は簡単ではありませんが、取得するメリットは大きく、今後のキャリアパスが広がることは間違いないでしょう。
システムアーキテクトに興味を持った方は、ぜひ資格取得を目指してみてください。
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