本記事ではフロントエンドエンジニアの仕事内容や必要なスキル、そして資格についてわかりやすく解説します。「HTML」、「CSS」以外にも仕事を行ううえで、コミュニケーション能力や自己管理能力なども重要である理由も合わせて紹介します。
フロントエンド開発とは、Webブラウザに表示されている部分を開発することです。フロントエンド開発を行うフロントエンドエンジニアは、どのような仕事内容で、どのようなスキルが必要かわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、フロントエンドエンジニアの概要や必要な知識・スキル、年収や向いている人を解説します。フロントエンドエンジニアを目指している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
フロントエンドエンジニアとは、Webサイトやアプリケーションの開発のうち、ユーザーに見えたり操作できたりする部分の開発を担うエンジニアのことです。Webページの外観や操作性の改善を行い、ユーザーが快適にWebサイトを閲覧、使用できるようにします。
フロントエンドエンジニアの仕事は、プログラム言語を用いて、Webページやアプリケーションのデザインを作成し、設計に基づいた動作やデータの処理を組み込むことです。
また、Webサイトのデザインを作成するチームと協力して、ユーザビリティやWebサイトのデザインを改善し、ユーザーがわかりやすく直感的に操作できるデザインの提供も行います。
フロントエンドエンジニアとコーダーは、明確に違いが定義されているわけではありません。
業界内では一般的に、プログラミングで動的なWebサイト制作を担当するのがフロントエンドエンジニア、静的なWebサイトのコーディングを行うのがコーダーと分類されています。
ここでは、フロントエンドエンジニアの具体的な仕事内容を紹介します。
▼フロントエンジニアの主な仕事内容
フロントエンド開発に興味がある方や、フロントエンドエンジニアになりたい方はぜひ参考にしてください。
フロントエンドエンジニアは、Webデザイナーやディレクターとの密なコミュニケーションが求められます。
フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリケーションのうち、ユーザーが操作する部分などのアイデアをデザイナーと共有し、必要な要素や機能・コンテンツの配置・色彩などを決定します。
また、フロントエンドエンジニアは、クライアントやWebディレクターなど関係者と打ち合わせをして、提案をするのも仕事です。システムの仕様を把握したうえで問題を解消し、コーディング時に不明点や不具合が生じることを防ぎます。
デザインやビジネスの視点を理解し、仕様に基づいた開発設計を行うことがフロントエンドエンジニアには求められるのです。
フロントエンドエンジニアは、仕様書どおりに設計や実装をするのも仕事のひとつです。
Webデザイナーのデザインをベースにし、「HTML」や「CSS」「JavaScript(jQuery)」「PHP」を使ってWebサイトの実装を行います。また、「WordPress」などのCMS構築とカスタマイズや、実装後は動作テスト・デバッグによるバグの発見や修正が主な仕事です。すべての工程を終えたら、本番環境のサーバーにアップロードして納品および検品を実施します。
このように、フロントエンドエンジニアは品質の高いWebページの提供が仕事です。現場で仕様書どおりの実装が求められるため、適切なコミュニケーションやドキュメント管理も重要な業務といえるでしょう。
ここでは、フロントエンドエンジニアに必要な知識やプログラミング言語を紹介します。
▼フロントエンジニアに必要な知識やプログラミング言語の例
フロントエンドエンジニアは、常に進化する技術に追いつくため、最新の知識やプログラミング言語への理解が必要です。
「HTML」とは、Webページを構成するためのマークアップ言語です。フロントエンドエンジニアは、「HTML」を使用してWebページの構造やレイアウトを設計するため、「HTML」を深く理解している必要があります。
「HTML」を用いた静的なWebページのコード例は、以下のとおりです。
<html> <head> <title>タイトル</title> </head> <body> <h1>見出し</h1> <p>本文</p> </body> </html>
このような<>で囲まれている部分をタグといい、さまざまなタグを用いてサイトの構造を作成します。「HTML」は、ほかのプログラミング言語よりも直感的に理解できるため、プログラミング初心者でも学習しやすい言語でしょう。
「CSS」とは、Webページのスタイル・レイアウト・色・フォントなどを設定するスタイルシート言語です。フロントエンドエンジニアは「CSS」を使用して、Webページの見た目やデザインをカスタマイズします。
「CSS」でWebページを装飾するコード例については、以下のとおりです。
.content { color: black; //コンテンツ要素の文字色を黒に指定 background: whitesmoke; //コンテンツの背景を「whitesmoke」に指定 border: 1px solid black; //コンテンツの枠線を「1px solid black」に指定 padding: 12px 8px; //コンテンツのパディング(コンテンツと境界との間の領域)を上下12px、左右8pxに指定 }
「CSS」を使うことで、Webページの要素の文字色や背景色、ボーダーラインや余白などを細かく設定でき、ユーザーにとって理解しやすいデザインが作成できます。
「JavaScript」は、Webページに動的な機能を追加できるスクリプト言語です。
フロントエンドエンジニアは、「JavaScript」を使用して、Webページの動的な部分を開発します。そのためには、「JavaScript」の構文・変数・配列・制御構文・オブジェクト・DOM操作など、幅広い知識が必要です。
「JavaScript」は、ブラウザ上で機能する言語であり、「HTML」の内容を操作できます。「JavaScript」を使うとWebページにスライダーやボタンクリック時の動き、要素の移動などの動作が追加可能です。「jQuery」といったライブラリを活用すれば、コードの記述がより簡単になるでしょう。
「JavaScript」のコード例は以下のとおりです。
window.onload = () => { // サイトが読み込まれたら文字の色を赤色に変更する const e = document.getElementById(“content”); e.style.color = “red”; }
「PHP」は、Webサイトや、アプリケーションのバックエンドの操作を実装するスクリプト言語です。フロントエンドエンジニアは「PHP」を使用して、データベースとの連携やサーバー側の処理、セキュリティ対策などを実装します。そのため、「PHP」の構文・変数・関数・配列・制御構文・ファイル操作などの知識が求められます。
「PHP」は、WordPressに代表されるCMSを動作させるために用いられているものです。そのため、「PHP」を扱えるフロントエンドエンジニアには、WordPressのプラグイン開発に参加できるケースもあります。
WordPressのカスタマイズ構築もフロントエンドエンジニアの業務内容に含まれるので、知識の習得をおすすめします。
ユーザーに数字を入力させて、その数字が偶数か奇数かを判定する
Webページを生成する「PHP」コードの例は、以下です。
<html> <head> <title>数字の判定</title> </head> <body> <h1>奇数か偶数かを判定するプログラム</h1> <form method="post"> <label>数字を入力してください:</label> <input type="text" name="num"> <input type="submit" value="判定"> </form> <?php if ($_SERVER["REQUEST_METHOD"] == "POST") { //ユーザーが「判定」ボタンをクリックした時に該当する処理 $num = $_POST["num"]; // POSTメソッドで送られてきたデータの中から、numという名前のデータ(テキスト入力欄でユーザーが入力した数字)を取得して、$numという変数に代入 if ($num % 2 == 0) { //$numが2で割った余りが0(偶数)かどうかを判定 echo "<p>$num は偶数です。</p>"; } else { echo "<p>$num は奇数です。</p>"; } } ?> </body> </html>
フロントエンドエンジニアは、デザイナーと協力してWebページのデザインを調整することがあります。
そのため、PhotoshopやSketch・Figmaなどのデザイン編集ツールを使用した、デザイン編集スキルが求められます。
スキルを習得するには、自分なりのWebデザインを作成してツールの使い方を覚えて、操作に慣れることが学習するうえで重要なポイントです。
UI/UXデザインとは、ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)の設計に関する知識です。UIはWebサイトやアプリケーションの見た目や操作感を指し、UXはユーザーがWebサイトやアプリケーションを使用して得られる体験を指します。
UI/UXデザインの知識を持つことで、ユーザーが使いやすい、かつ魅力的でわかりやすいWebサイトやアプリケーションを設計できます。フロントエンドエンジニアは、UI/UXデザインに基づいた設計にも関わるため、これらの知識を身につけておきましょう。
フロントエンドエンジニアには、SEO(検索エンジン最適化)の知識も求められます。SEOとは、Chromeなどの検索エンジンで、検索結果の上位に表示させるための技術や戦略のことで、Webサイトを運営するうえで不可欠な知識です。
SEOの知識を持つことで、Webサイトの構造やコンテンツ・リンク構造・タグ・メタデータなどを最適化し、検索エンジンでの上位表示につなげられます。
開発したサイトをより多くのユーザーに見てもらうためにも、SEOの知識を身につけておくことがおすすめです。
フロントエンドエンジニアの平均年収は、約500万円です 。ただし、個人の経験・能力・地域・業種・企業の規模などによって年収は変わります。IT業界全体の人手不足からフロントエンドエンジニアの人材需要は年々高まっており、平均年収より多くの報酬を獲得できるケースも増加傾向です。
フロントエンドエンジニアの担当領域はデザインやユーザー体験にも関わることから、デザインセンスやUI/UXの知識が求められます。そのため、豊富なスキルを身につけていれば、その分年収に反映されるのです。
フロントエンドエンジニアには、さまざまなキャリアパスがあります。ここでは、フロントエンドエンジニアの代表的なキャリアパスである以下の3つを紹介します。
フロントエンドエンジニアを深く知るためにも、さまざまなキャリアパスを理解しておきましょう。
Webデザイナーは、Webサイトやアプリケーションのデザインを担当する仕事です。利用者の操作感を考慮しながら、美しいデザインの制作が求められます。
フロントエンドエンジニアとして習得した「HTML」「CSS」「JavaScript」などのプログラミング言語の知識は、Webデザイナーになっても活かせるスキルです。エンジニアの仕事よりも、デザインに興味が出たりWebデザインニーズの高まりでキャリアチェンジしたりしたくなった場合は、フロントエンドエンジニアからWebデザイナーを目指すことが可能です。
Webデザイナーになるためには、デザインの基礎知識を学ぶ必要があります。色彩やフォントなどの知識を習得し、デザインのセンスを磨きあげましょう。
UI/UXデザイナーは、Webサイトやアプリケーションのユーザーインターフェース(UI)や、ユーザーエクスペリエンス(UX)の設計をする仕事です。
フロントエンドエンジニアで培ったレスポンシブデザインやフレームワークの使用経験・Web知識は、UI/UXデザイナーになるための足がかりとなるものです。ただ実際にUI/UXデザイナーとして仕事をするには、さらに深いUI/UXデザインの知識が求められます。
UI/UXデザイナーになるには、ユーザーにとってわかりやすく、使いやすいUI/UXの設計を学ぶ必要があります。ユーザー調査やターゲット分析、ワイヤーフレーム作成などのスキルを身につけましょう。また、UI/UXデザインの専門知識を習得することも重要です。
フロントエンドエンジニアとしてのキャリアを積む場合、自身のスキルを高めることが大切です。
新しいプログラミング言語やフレームワークの知識をはじめ、アクセシビリティやパフォーマンスの最適化に関する知識の習得、デザイナーと協働力の向上などが求められます。
また、プロジェクトマネージャーやチームリーダーとしてのスキルを身につければ、より高度なプロジェクトやチームをリードできるでしょう。
フロントエンドエンジニアのやりがいは、自分の手でつくり上げたWebサイトやアプリケーションを、世界中の人たちが利用してくれることです。自分の技術が多くの人たちの役に立っていると感じられます。
また、フロントエンドエンジニアは、デザイナーやバックエンドエンジニア・プロジェクトマネージャーなど、多くの人たちと協力してプロジェクトを進めます。そのため、コミュニケーション能力やチームワークを身につけられる点にもやりがいを感じることがあるでしょう。
多くの企業がデジタル化に取り組んでいる現在、フロントエンドエンジニアの需要は高く、やりがいのある仕事だといえるのです。
フロントエンドエンジニアになるために、取っておきたい資格として、以下の4つを紹介します。
実務で役立つ資格なので、ぜひ参考にしてください。
HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML5に関するスキルを測定する資格試験です。試験では、HTML5の基礎的な知識や、セマンティックな(意味を持った)マークアップ・Webストレージ・Webアプリケーション等に関する知識が問われます。
「HTML」には、<div>や<span>といった「意味を持たない」要素もありますが、HTML5では<section>や<footer>といった意味のある要素が導入されました。
HTML5プロフェッショナル認定試験に合格できれば、HTML5を使ったWebサイトやアプリケーションの開発に必要なスキルがあることを証明できます。ただし、レベル1は難易度が低いため、フロントエンドエンジニアになりたい方はレベル2以上の合格を目指すとよいでしょう。
自分の実力を知るために、まずはサンプル問題に挑戦してみてください。
Webクリエイター能力認定試験は、WebデザインやWeb制作に必要なスキルを測定する資格試験です。
試験では、Webデザインの基本的な知識や、PhotoshopやIllustratorなどのグラフィックソフトの操作、「HTML」や「CSS」に関する知識が問われます。Webクリエイター能力認定試験に合格できれば、WebデザインやWeb制作に必要なスキルが一定レベル以上あることの証明ができます。
実技試験だけの「スタンダード」と、実技試験と知識試験を行う「エキスパート」の2つがあり、どちらの試験も合格率は80%以上と高めです。Web制作に関する知識を証明できる資格であるため、フロントエンドエンジニアやWebクリエイターになりたい方は挑戦してみてください。
CIW JavaScript Specialistは、「JavaScript」に関するスキルを測定する資格試験です。
試験では、「JavaScript」の基礎的な知識やオブジェクト指向プログラミング・ブラウザイベント・「Ajax」等に関する知識が問われます。CIW JavaScript Specialistに合格すると、「JavaScript」を使ったWebサイトやアプリケーションの開発に必要なスキルを証明できます。
CIW JavaScript Specialist試験は、Certification Partner社が主催する国際資格試験です。WebスキルをフロントエンドエンジニアやWebデザイナーといった職種ごとに認定します。「JavaScript」開発者向けの資格であり、プログラム制御やフォーム認証・DOM操作などのスキルが求められるだけでなく、英語のみの試験なので英語の知識も必要です。
PMP(Project Management Professional)は、プロジェクトマネージャーの資格です。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの計画・実行・管理・監視などを担当し、プロジェクトの成功に貢献します。そのため、フロントエンドエンジニアがプロジェクトマネージャーになる場合は、PMPが役立つでしょう。
PMPの資格を取得することでITプロジェクトを統括し、スケジュールやコスト・品質やリソース・リスクなど、マネジメントできるスキルを証明できます。ただし合格するには、プロジェクトのライフサイクルやプロジェクトマネジメントのプロセスをについて深く理解し、プロジェクトマネジメントの実戦経験が必要です。
難易度が高い資格のため、PMPに合格できれば、さまざまな国や業界で高い信頼が得られるでしょう。
本記事ではフロントエンドエンジニアの仕事内容や必要なスキル、フロントエンドエンジニアになるためにおすすめの資格について解説しました。
フロントエンドエンジニアとしてのスキルを身につければ、Web業界でのキャリアアップ実現や、市場価値の高いエンジニアを目指せます。また、Web技術以外にもコミュニケーションスキルや学ぶ力、自己管理能力なども身につけられます。
記事を参考に、フロントエンドエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。
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