データ解析が得意なR言語と「Python」にはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、R言語と「Python」の違いや学習方法、R言語のインストール方法などを初心者向けに詳しく解説していきます。
R言語はデータ解析に特化したプログラミング言語です。同じくデータ解析が得意なプログラミング言語として「Python」があります。
データ解析が得意なこれらふたつのプログラミング言語には、どのような違いがあるのでしょうか。本記事ではR言語と「Python」の違い・R言語でできること・学習方法・R言語のインストール方法を詳しく解説します。
目次
R言語は、データサイエンスの分野において統計や解析が必要なシーンで採用されるプログラミング言語です。1990年代にニュージーランドはオークランド大学の研究者によって開発されました。
統計解析・データ分析・グラフィック分野を得意としており、オープンソースのプログラミング言語なので無料で利用できます。
データ解析分野に特化している言語のため、「C言語」や「Java」などのような汎用性はありませんが、解析したデータのグラフ出力を簡単におこなえるのが強みです。
統計解析やデータ分析といった「データサイエンス」分野においてさまざまな現場で利用されています。
R言語には、主に3つの特徴があります。
それぞれ詳しく解説します。
R言語は統計解析用のプログラミング言語として開発されたため、統計解析やデータ分析において有用な言語です。
解析するだけでなく解析したデータをグラフで出力する機能も豊富に用意されているため、データの視覚化にも優れています。
またバイナリデータ(コンピュータが「直接理解できる形」で保存された、0と1のみで構成された情報)を、直接解析できる機能も備わっています。バイナリデータを人が理解できる形式にするには専用のツールの使用が必要であるものの、R言語ならバイナリデータを直接読み込み、解析できるのです。
R言語は無償で公開されているオープンソースの言語です。したがって、導入コストが必要なく、無料でインストールできます。
ソースコードが公開されているため、R言語により詳しい人がソースコードを解析すると脆弱性を見つけられる可能性があり、解析の情報を誰でも確認することが可能です。
ソースコードを改変したのち、新たなバージョンとして世界中に配布することもできるため、脆弱性やバグの修正・機能拡張などが世界中の開発者によって継続されています。
R言語にはグラフ作成専用の関数が用意されており、短いコーディングでグラフを簡単に作成できます。
つまりプログラミング言語でありながら、グラフ作画専用アプリケーション感覚でグラフを作成できるのです。
作成できるグラフの種類も豊富で、折れ線グラフ・棒グラフ・ヒストグラムなど主要なグラフはすべて作成可能となっています。
数字の羅列ではわかりにくい内容であっても、グラフ化すれば理解しやすくなります。適切なグラフを作成することで、わかりやすい資料の作成が可能です。
R言語にはグラフ作成用のパッケージもあるため、それらを最大限活用することで複雑なグラフも簡単に作成できます。
R言語と「Python」は、どちらもデータ解析の分野で利用されています。これらふたつのプログラミング言語にどのような違いがあるのかを詳しく説明します。
「Python」は、データ解析の分野でもよく利用されているプログラミング言語です。「Python」は汎用言語であるため、統計解析以外に人工知能や深層学習といったさまざまな開発が可能です。
人気の言語であるため、情報が豊富で学習しやすい点も「Python」の強みと言えます。
一方、R言語は統計解析に特化しているため、Webアプリケーションなどの統計解析以外はできません。
しかし、R言語は統計解析に特化しているため、統計解析や機械学習に関するプログラムの記述において「Python」よりも簡単に記述できます。
データ解析分野のプログラミングをおこないたい方は、R言語と「Python」両方の言語習得をおすすめします。
R言語は統計解析や機械学習を得意としており、具体的には主に以下の5つのことが可能です。
それぞれ詳しく解説します。
R言語はデータの統計や解析に特化したプログラミング言語です。
統計解析に特化した関数が多数実装されているほか、「外部呼び出し」と呼ばれる仕組みを通じて、「C言語」や「Fortran」など他の言語で書かれたコードを直接呼び出せます。
一般的な統計解析はもちろん、統計解析のパッケージが世界中の開発者により頻繁に追加されているため、さまざまな手法が利用可能です。
豊富なパッケージの中には最新の研究で用いられている手法も存在するため、最先端の統計解析手法を手軽に試せます。
R言語には解析したデータをグラフ化する機能が備わっているため、簡単にデータを可視化できます。
グラフ化する際に複雑なコードは必要なく、ヒストグラムなら「hist(data)」・散布図なら「plot(x,y)」と記述するだけです。
グラフ作成用の専用アプリケーションを導入することなく、視覚的に優れたグラフを簡単に作成できます。
R言語は、機械学習分野でも活躍している言語です。機械学習分野においても統計解析は重要で、さまざまな企業が実際のビジネスに活用しています。
とくに金融・航空・宇宙といった分野では、リスク予測などにAIが用いられており、機械学習における統計解析においてR言語は重要な役割を担っているのです。
AI技術の発展に伴い、機械学習を利用するビジネスは増加傾向にあります。AIと機械学習および統計解析は深い関連性があることから、AI関連の仕事で広く使われるR言語の需要も高まっているのです。
R言語は数値解析にも優れており、四則演算や関数を使った複雑な計算も実行できます。
膨大なデータをベクトルとして保存し、データの平均値や標準偏差も求められます。
R言語におけるベクトルは、型の同じデータがひとつ、あるいは複数格納されているオブジェクトのことです。
文字列がひとつ格納されたベクトルの例は、以下の通りです。
myVec1 <- "This is VectorSample!"
数字が複数(この場合は5つ)格納されたベクトルの例は、以下となります。
myVec2 <- c(1, 3, 5, 6, 7)
R言語の豊富な機能を最大限活用できるようになれば、他の言語よりも遥かに効率的な数値解析が可能になります。
R言語を使えば「スクレイピング」もできます。「スクレイピング」とは「かき集める」ことを意味する単語で、ITにおいてはインターネット上のさまざまなデータを収集し、そのデータを使いやすく加工することを指す言葉です。
膨大なデータが必要となる製品価格の調査や市場調査などで、R言語のスクレイピング機能が活用されています。
データの収集は手作業でも可能ですが「スクレイピング」を活用することでデータ収集作業の自動化が可能です。作業の自動化によって、人的ミスと作業時間の短縮も実現できます。
ただし、「スクレイピング」は、やり方次第では法律に抵触する可能性があるので注意が必要です。インターネット上のデータを収集する際は収集先に事前に許可を取る、またはライセンスフリーのもののみを対象にすることを認識しておいてください。
R言語を習得すると、3つの職種で仕事が可能です。
それぞれの仕事内容について、詳しく紹介します。
データアナリストとは、自社やクライアントのビジネス課題をデータ解析で解決する専門家です。
ビジネス上の課題を抽出し、課題を解決するためのデータを収集・分析することが主な仕事内容となります。
膨大なデータを収集・分析し、解析する仕事であるため、分析スキルはもちろん、分析結果をまとめるための資料作成能力が必要です。
データアナリストの仕事は企業にとって重要であるものの、データアナリストの人材は不足しています。
需要に対して人材の供給が足りていないことから、データアナリストに必要なR言語を扱うスキルを保有していれば、将来的にデータアナリストとしての活躍も期待できるでしょう。
データエンジニアは、データ活用のための基盤づくりや、データ分析のシステムを開発する職種です。
データエンジニアになるにはR言語や「Python」の習得のほか、システム開発やデータベースの管理運用といったスキルも求められます。
AI技術の発展により近年では、高度な統計処理が可能なシステムや機械学習に関連したシステムの開発に、データエンジニアが携わることもあります。
データ活用のための基盤づくりをするにあたって、データエンジニアがインフラ構築を担当する場合もあるでしょう。R言語だけでなくインフラやクラウドに関する知識も身につけておくと、他のデータエンジニアよりも仕事を獲得するうえで優位に立てます。
機械学習エンジニアは、機械学習システムの実装やモデリングをおこなう職種です。機械学習はビッグデータを用いて学習させる必要があり、機械学習システムの実装および運用が機械学習エンジニアの主な仕事内容となります。
データアナリストやデータエンジニアと同じく、機械学習エンジニアに統計のスキルは必須で、加えて機械学習やアルゴリズムの知識も求められます。
AIの発展によって機械学習エンジニアの注目度も高まってきており、人材も少ないため将来性を期待できる職種です。
R言語の習得には十分なメリットがあるため、今後伸びると言われているAI開発や機械学習の分野に携わりたい場合は、有力な選択肢となることでしょう。ここからはR言語を学習・習得する以下の4つのメリットを詳しく解説します。
R言語のベクトルは、同じ型(数値・文字列・真偽値など)のデータを1次元で並べたものを指します。R言語におけるベクトルは最も基本的なデータ構造です。配列やリスト、データフレームなどのデータ構造もベクトルに含まれます。R言語はベクトルを扱えるため、数学的な演算をベクトル全体に適用するといった処理が可能となり、データを効率的に操作・分析することが可能です。
R言語においてベクトルは、数学的なベクトルといった意味合いのほかに、リストのような役割を果たします。
データをベクトル化することで膨大なデータをひとつのベクトルとして保存・処理することが可能となるため、複雑なデータ構造でも管理できるのです。
ベクトル処理によってデータの処理速度が上がり、効率的な分析・統計が実現できます。
R言語はOSに依存しないプログラミング言語のため、WindowsやMacなど、どのOSでも使用可能です。
プログラミング言語の中にはOSに依存しているものもあります。OSに依存したプログラミング言語は、Windowsでは動作するがMacでは動作しないといった事態が起こるため、OSを問わず使える点はR言語のメリットと言えるでしょう。
R言語の互換性の高さもメリットのひとつです。R言語にはExcel・CSV・JSON・SQLデータベースなど多様なデータとの互換性があります。たとえば、ExcelファイルのデータをR言語のプログラムで直接読み込むことが可能です。
R言語でCSVファイルを取り込みたい場合、「read.csv(“ファイル名”)」と記述するだけでデータフレームという構造に自動変換して簡単に読み込めます。
OSやパッケージの互換性が低い言語の場合、自分の機器では正しく動作しても他の機器では動作しないことがあります。しかし、R言語はOSやパッケージの互換性が高いため、異なるOSであってもひとつのコードで正常に動作するのです。
解析パッケージが異なっていても動作する点も、R言語のメリットと言えるでしょう。
R言語には、多種多様なパッケージが豊富に用意されています。
パッケージとはオブジェクトや関数をまとめたもので、パッケージを利用することによりコーディングの手間が省ける便利な存在です。
パッケージを有効に利用してコーディング量を減らせば、業務の効率化につながります。
R言語に標準搭載されていない機能を使いたい場合は、CRAN(R言語と関連パッケージが掲載されているサイト)
からダウンロードして利用できます。
引用:The Comprehensive R Archive Network
多くのメリットがあるR言語にも、デメリットがあります。
R言語で気をつけたいデメリットは、以下の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
R言語はデータ解析に特化した言語のため、データ解析以外の作業には向いていません。
したがって、データ解析が必要ないシステムやアプリケーションを開発したい場合は、R言語以外のプログラミング言語を利用する必要があります。
本記事で紹介したプログラミング言語を例にすると、データ解析に特化した仕事を希望するならR言語、データ解析だけでなく幅広くさまざまなシステムを開発したいなら「Python」の習得がおすすめです。
「C言語」や「Python」など汎用性が高く人気のプログラミング言語は日本語のドキュメントが多いため、プログラミング学習初心者でも比較的学習を進めやすいでしょう。
一方で、R言語はドキュメントの大半が英語のため、R言語を習得するには英語のドキュメントを読み解きながら学習していく必要があります。
したがって、独学でR言語を学ぶとき、人によっては難しく感じるかもしれません。
R言語を効率よく学びたい場合は、勉強会への参加やプログラミングスクールの受講がおすすめです。
R言語でのデータ解析には、統計学の知識も必要となります。R言語を習得しただけでは、代表的なデータ解析手法や出力したデータを正確に読み取るための知識が足りず、データ解析を正しくおこなえないためです。
R言語を実用レベルで使いこなすにはR言語そのものの知識やスキルだけでなく、統計学についても学ぶ必要があります。
R言語とともに統計学も学ばなければならない点は、学習時間が十分に取れない場合はデメリットとなるでしょう。
本記事では、R言語と「Python」の違い・R言語を活用してできること・学習方法・R言語のインストール方法など、初心者向けに詳しく解説しました。
R言語は、今後も発展していくことが予想されるAI分野に興味がある方におすすめのプログラミング言語です。
オープンソースであり無料で学習を始められるため、興味がある場合は初心者でもとりあえず学習してみることをおすすめします。
自分に合った学習方法でR言語を習得できれば、データ分析におけるスペシャリストとしての活躍も期待できるでしょう。本記事を参考にR言語をぜひ習得してみてください。
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