本記事では、SSO(シングルサインオン)について解説します。具体的に解説する事項は、以下の6つです。
SSO(シングルサインオン)とは、ユーザーが一度ID・パスワードの認証をおこなうだけで、関連する複数のWebサービスやアプリケーション、クラウドサービスに自動的にアクセスできるようにする仕組みです。
Webアプリケーション開発に興味がある方やITの知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
SSO(シングルサインオン)は、一度のID・パスワード入力で、複数のWebサービスやアプリケーションにセキュアにアクセスできる仕組みです。SSOを使用すると、ユーザーは異なるサービスごとに異なるログイン情報を覚える必要がなくなるため作業効率が向上します。リモートワークやクラウドサービスの利用拡大に伴い、SSOの重要性が高まっています。
SSOはユーザーの利便性を向上させ、認証情報の管理を効率化することが可能です。しかし、不正アクセスやシステム障害時のリスクも伴います。SSOシステムにはSAML・OAuth・OpenID Connectなど複数の認証方式があり、それぞれに特徴と適用シナリオが異なります。
ここからは、SSOの仕組みを4つ解説します。ここで解説するSSOの種類は、以下の4つです。
SSOの種類ごとの特性や成り立ちを知ることで、実際の開発でも状況に応じたSSOの方式を選べます。
SSOの1つ目は、代行認証方式です。
代行認証方式とは、ユーザーの認証プロセスを専用エージェントが代行するSSOの形態です。この方式において専用エージェントは、ユーザーのIDとパスワードをメモリ上に保持し、ユーザーのパソコン上で常駐します。
ユーザーがサービスにアクセスする際、エージェントはログイン画面を自動的に検出し、IDとパスワードを入力してログインを代行します。このプロセスにより、ユーザーは複数のサービスを利用する際に、何度もログイン情報を入力する手間を省くことが可能です。
代行認証方式は、利便性を高める一方でセキュリティ面でのリスクも考慮する必要があります。
SSOの2つ目は、SAML認証(フェデレーション)方式です。
SAML認証は、セキュリティアサーションマークアップランゲージ(SAML)を使用してSSOを実現する方式です。この方式では、IdP(Identity Provider)でユーザーの身元を確認し、SP(Service Provider)でサービスを提供します。
ユーザーがSPのWebサービスにアクセスする際、IdPにユーザーの認証を要求します。IdPはユーザーを認証し、認証情報を含むSAMLアサーションをSPに送信するのです。SPはこのアサーションを検証してユーザーのログインを許可します。このプロセスにより、ユーザーは一度の認証で複数のサービスを安全に利用が可能です。
SAML認証はセキュリティを確保しつつ、利便性の高い認証プロセスを提供します。このプロセスにより、ユーザーは一度の認証で複数のサービスを安全に利用できるようになります。SAML認証は、セキュリティを確保しつつ、利便性の高い認証プロセスを実現するのです。
SSOの3つ目は、リバースプロキシ方式です。
リバースプロキシ方式は、中継サーバーを介してSSOを実現する方法です。ユーザーがWeb認証をおこなうと、認証サーバーによって認証されリバースプロキシサーバーはこの認証情報を検証します。その後、リバースプロキシサーバーを経由してユーザーは各サービスにアクセスし、シングルサインオンを実現します。
この方式は、セキュリティを強化しつつ、ユーザーの利便性向上が可能です。
SSOの4つ目は、エージェント方式です。
エージェント方式では、Webアプリケーションにエージェント型ソフトをインストールし、このエージェントが認証プロセスをおこないます。エージェントはSSO用の外部サーバーと連携し、ユーザーの認証やアクセス権限のチェックを実施します。
認証が成功すると、SSOサーバーからユーザー情報がエージェントに提供され、シングルサインオンが実現されるのです。この方式は、セキュリティと利便性を提供する、効果的な認証方法といえます。
ここからは、SSO導入のメリットを3つ解説します。
SSO導入のメリットを知れば、SSOへの理解をより深めることが可能です。さらにクライアントとSSOについて提案する場合も、この知見が役に立つでしょう。
SSOを導入するメリットの1つ目は、認証に手間がかからず業務効率が高まる点です。
SSOを導入することで、ユーザーは複数のサービスやアプリケーションを利用する際に、一度の認証で済むようになります。その結果、ログインの手間が大幅に削減され業務効率が向上します。
とくに多くの異なるシステムを日常的に使用する企業においては、この利便性の向上は非常に大きなメリットといえるでしょう。従業員は複数のIDとパスワードを覚える必要がなくなるため、パスワードを忘れるリスクも低減し、スムーズに業務がおこなえます。
さらに一元管理された認証システムを通じてアクセス制御がおこなえるため、セキュリティの向上にも寄与します。
SSOを導入するメリットの2つ目は、IDとパスワード管理の手間が削減される点です。
SSOの導入によりIDとパスワードの管理が一元化されるため、管理者側の手間が大幅に削減されます。そのため、従業員がパスワードを忘れてしまった場合でも、SSOシステムを通じて迅速に対応でき、情報システム部門のオペレーション負荷が軽減されるます。これにより、より重要な業務にリソースを集中できるでしょう。
また、パスワードポリシーの適用やセキュリティアップデートの実施も一元管理されるため、全体的にセキュリティレベルの向上が期待できます。
SSOを導入するメリットの3つ目は、効果的なパスワード管理によりセキュリティリスクが減少する点です。
SSOを利用することで、従業員は複雑で強固なパスワードを設定する必要がないにも関わらずセキュリティリスクも低減できます。これは、SSOシステムが、強力な認証メカニズムを提供することで実現されます。
たとえば、二要素認証や多要素認証を導入することで、パスワードだけでなく別の要素を用いた認証ができるようになり、セキュリティの強化が可能です。これにより、従業員それぞれが多くのパスワードを管理する負担が軽減され、セキュリティインシデント(外部からの悪意ある攻撃や情報漏えいといったトラブル)のリスクも低減するでしょう。
また、SSOの導入はコンプライアンスの遵守にも寄与し、ビジネスの信頼性と安全性を高める要素となります。
ここでは、SSO導入における2つのデメリットについて解説します。
SSOのデメリットも知っておくことで、予期せぬトラブルが発生しても、迅速に対応できるようになります。
SSOを導入するデメリットの1つ目は、システムが停止した場合はログインできない点です。
SSOを導入することで、ユーザーは複数のサービスやアプリケーションに対して一度のログインでアクセスできるようになります。
しかし、もしSSOに関連するシステムが停止した場合、ユーザーはログインできなくなるリスクもあるのです。これは、ビジネスにおいて重大な問題を引き起こす可能性があります。
たとえばSSOシステムがダウンすると、経営に直結するサービスやアプリケーションの利用が停止し、経済的な損失を招くことがあります。また、復旧作業には時間がかかることが予想され、その間にビジネスチャンスを逃すリスクもあるでしょう。
したがってSSOを導入する際は、システムの信頼性を十分に検討するとともに、障害発生時の対策を講じることが重要です。
SSOを導入するデメリットの2つ目は、ID情報が漏えいした場合は被害が拡大する危険性がある点です。
SSOは、1組のIDとパスワードで複数のサービスやアプリケーションにアクセスできる便利な仕組みです。
しかし便利さがゆえ、ID情報が漏えいした場合に複数のサービスが危険にさらされるため被害が拡大する危険性があります。通常、異なるサービスには異なる認証情報を使用しますが、SSOを利用すると1つの認証情報ですべてのサービスにアクセスできるため、情報が漏れるとすべてのサービスが危険にさらされるのです。
したがって、SSOを導入する際は、セキュリティ対策の強化が必須です。とくに二要素認証や多要素認証のような追加のセキュリティ層の導入は、ID情報が漏えいしても不正アクセスを防ぐための重要な手段となります。
ここからはSSOの導入事例を、2つの業種ごとに紹介します。
業種ごとの導入事例を確認することで、実際にSSOがどのように使われているのかがイメージできます。
金融機関では、SSOの導入により業務効率の向上とセキュリティの強化が図られています。
ある銀行の事例では、従業員が複数のシステムにアクセスする際のIDとパスワードの管理が簡素化され、業務の迅速化と効率の向上が実現しました。また、別の金融機関では、SSOを活用することでパスワード関連のセキュリティリスクを減らし、厳しいコンプライアンス要件に効果的に対応しています。
これにより、アカウント管理の効率化が実現し、セキュリティの維持と規制遵守が容易になりました。これらの事例から、SSOがいかに金融機関の運営を支援しているかがうかがえます。
食品製造業でのSSOの導入例として、OneLoginを導入した事例があります以前から別のSSOサービスを利用していましたが、より本格的なIdP基盤を構築するために「OneLogin」を選択しました。
導入前のシステムではSAML認証のみに依存していたため、ユーザーの自動登録やアカウントの自動削除などのProvisioning作業がおこなえないという課題がありました。しかしOneLoginの導入により、これらの課題が解決されたのです。
情報システム部では、ID・パスワードのFormBased認証が必要なアプリケーションへのSSOをOneLoginを通じて実現し、業務効率の向上とセキュリティの強化を実現しました。
この事例から、食品製造業においてもSSOが業務効率化とセキュリティ強化に寄与するといえます。
ここでは、SSO選択のポイントを5つ解説します。
SSO導入に失敗しないためにも、上記を考慮する必要があります。
SSOを選ぶ際に最も重要なポイントは、自社が抱える課題を解決できる機能を持っているか検討することです。たとえば、従業員が異なるアプリケーションを使用している場合、それぞれで認証情報を管理するのは非効率であり、パスワードの多様化によるセキュリティリスクも高まります。
このような状況では、SSOによる一元管理と簡易ログインのメリットが大きくなります。また、従業員のオンボーディング(新規採用者のアカウント設定)やオフボーディング(退職者のアカウント削除)のプロセスを簡素化し、IT管理者の作業負担を軽減することも可能です。
したがって、自社の特定のニーズに合ったSSOソリューションを選ぶことが業務効率化とセキュリティ強化の観点から重要です。
SSOソリューションを選ぶ際のもうひとつの重要なポイントは、自社の既存システムとの連携がスムーズにおこなえるかどうかです。
多くの企業では、CRM・ERP・メールシステムなど異なるベンダーから提供されているアプリケーションを利用しており、SSOソリューションが連携できる必要があります。そのため、選択するSSOソリューションは、これらのアプリケーションとの広範な互換性を持ち、簡単に統合できるものであるべきです。
また、APIやSDKの提供・豊富なプリビルトコネクタ(特定のアプリケーションやサービスに接続するためにあらかじめ作成されたソフトウェアユニット)など、柔軟な連携オプションを提供するSSOソリューションを選ぶことが重要です。
現代のビジネス環境では、従業員がオフィスだけでなく外出先や自宅での仕事が可能です。
そのためSSOソリューションを選ぶ際には、スマートフォンやタブレットなど、多様なデバイスに対応できるかを考慮する必要があります。モバイルデバイスに最適化されたログインプロセスや、モバイルアプリでの利用をサポートする機能を持つSSOソリューションを選ぶことで、従業員の生産性を向上できるでしょう。
SSOソリューションを選ぶ際には、オンプレミスとクラウドを検討する必要があります。オンプレミスのSSOソリューションは、企業が自社のデータセンターに設置し管理する形態です。
これに対してクラウドベースのSSOソリューションは、外部のプロバイダがホスティングし管理する形態です。クラウドベースのSSOソリューションは、導入が簡単でコスト効率がよい一方で、オンプレミスのソリューションはより高度なカスタマイズができます。
そのため企業のニーズに合わせた適切な選択が重要です。
最後にSSOソリューションを選ぶ際には、提供されるサポート体制が自社のニーズと一致しているか確認が必要です。導入後に問題が発生した際に、迅速かつ効果的に対応してもらえるかどうかは、SSOソリューションの価値を大きく左右するためです。
24/7のサポート・専任のアカウントマネージャーの提供・豊富なオンラインリソースなど、充実したサポート体制を持つSSOプロバイダを選ぶことで、安心して導入を進めることができます。
本記事では、SSOの基本的な内容について解説しました。SSOは複数のクラウドサービスを一人のユーザーが使用する際に、非常に役立つ機能です。そのため開発でユーザビリティを考える際には、SSOについても考慮する必要があります。
本記事を参考に、SSOの導入や活用法について検討してみてはいかがでしょうか。
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