ひと言でアプリ開発といっても、アプリには多くの種類があるため、それぞれに適したプログラミング言語は異なります。そのため、プログラミング学習初心者がアプリ開発を始める際には、プログラミング言語などの基本的な知識や必要なスキルを把握しておくことが重要です。
本記事では、アプリ開発の基本概念や必要な技術、開発方法について解説します。
目次
アプリ開発は、顧客の満足度や利便性の向上、企業の商品やサービスの知名度向上といった多くのメリットがあります。ここでは、アプリ開発がなぜ重要なのか、企業と個人の視点から詳しく解説します。アプリ開発の意義を理解し、目的に沿った開発が行えるようにしてください。
アプリ開発を行なうことで、企業にはさまざまなメリットが生まれます。
まず、アプリを通じてユーザーとのコミュニケーションが容易になります。アプリをダウンロードしたユーザーの情報を収集してマーケティングに活用できるほか、直接顧客とコミュニケーションを取るチャネルを持つことで、顧客サービスを改善し、顧客体験(UX・ユーザーエクスペリエンス)を強化することが可能です。
さらに、アプリはユーザーをリピーターやファンに育てやすいツールでもあります。ユーザーが継続して使いたくなる機能をアプリに搭載することで、よりリピートされやすくなるでしょう。また、アプリを通じたユーザーとのコミュニケーションで、ユーザーの属性に合わせた情報提供やサービスの提供が可能になります。
これらの点から、企業にとってアプリ開発は非常に価値のある取り組みであることがわかります。
個人でアプリ開発を行なうことにも、さまざまな意義があります。
まず利用者の多いアプリを開発できれば収益が期待できます。さらに、アプリ開発を通じて自身のスキルも向上させることが可能です。開発に必要なプログラミング言語を学ぶことで、自己成長やキャリアアップにつながる技術を習得できます。
また、個人開発したアプリはポートフォリオとしても活用可能です。自身のスキルやアイデアを具体的に示すことができるアプリを製作できれば、将来の転職やフリーランス活動においても有益となるでしょう。アプリ開発は、個人のエンジニアとしての市場価値を高めるだけでなく、自己実現や創造性を発揮する場としても機能します。
さらに、個人でアプリ開発を行なうことで、自身のアイデアやビジョンをより自由度の高い環境で実現できるでしょう。企業に所属している場合よりも、制約の少ない環境でアプリ開発ができるため、満足感や達成感を得ることが可能です。
アプリ開発の基礎知識を習得することは、アプリ開発エンジニアとしての第一歩を踏み出す重要なステップです。ここでは、主に以下の2つの基礎知識について解説します。
アプリ開発を学ぶ前に、まずはアプリの種類を把握しておきましょう。アプリは大きく「Webアプリ」「ネイティブアプリ」「ハイブリッドアプリ」の3つに分類されます。以下の表に各アプリの特徴をまとめました。
アプリの種類 | 特徴 |
---|---|
Webアプリ | インターネット接続時にWebブラウザ上で動作する |
ネイティブアプリ | デバイスの機能を最大限に活用できる | ハイブリッドアプリ | Webアプリとネイティブアプリの特徴を組み合わせたもの。 インターネット接続がなくても一部機能が利用でき、デバイス機能も活用できる |
それぞれのアプリには独自の利点と制約があるため、用途や開発目的に応じて適切な種類を選びましょう。
アプリ開発に必要なものを知ることは、スムーズな開発のための第一歩となります。アプリ開発に最低限必要なデバイスやスキルは、パソコンやツールなどが搭載されたプラットフォーム、開発に必要なプログラミング言語の知識です。プラットフォームはアプリの動作に必要な基盤となるものです。Windows、MacOS、Android、iOSなどのオペレーティングシステム(OS)が該当します。
Webアプリを開発する場合は、「サーバOS」「ミドルウェア」「データベース」から構成される「サーバプラットフォーム」を構築する必要があります。
また、プログラミング言語のスキルは、アプリの実装に必要不可欠な要素です。Webアプリ開発が可能なプログラミング言語には「Java」「Swift」「Python」「JavaScript」などがあります。
アプリ開発に必要なスキルを身につけることは、アプリ開発を始めるための重要な一歩です。ここでは、とくに必要になりやすい以下の5つの言語やスキルについて説明します。
これらのスキルを駆使することで、アプリ開発に必要なプログラミングや環境構築を行うことが可能になります。
アプリ開発に必要なスキルのひとつである「HTML/CSS」は、アプリの見た目やデザインを整えるのに欠かせません。
アプリ開発に活用するのであれば、「HTML/CSS」は中級クラスのレベルまで習得しておくことが望まれます。中級クラスのスキルの例は、「レスポンシブデザインの対応」「アニメーションの導入」「CSSのフレームワークを使用できる」などです。
デザイナーからあがってきたアプリのデザインを、「HTML/CSS」を使って再現できるようになるレベルがひとつの目安となります。
「HTML/CSS」は、アプリ開発において最も基本的なスキルのひとつであるため、しっかりと学び、実践を繰り返すことが大切です。
Webアプリ開発において、「JavaScript」は非常に重要な役割を果たします。画面表示の制御やサーバー側での処理など、さまざまな表現が可能であるため、スマホアプリ開発にも欠かせない存在です。
「HTML・CSS」ほどに使いこなす必要はありませんが、簡単なコードを理解し、コーディングができるようになることをおすすめします。
「Python」は、近年人気が高まっているプログラミング言語のひとつで、人工知能や機械学習など、最先端技術の開発に採用されているプログラミング言語です。
「Python」を使うことで、アプリの開発が効率的に進められるだけでなく、さらに高度な機能を盛り込んだアプリを開発できます。
たとえばPythonのBeautifulSoupやScrapyといったライブラリを活用することで、Webスクレイピング(インターネット上の情報をかき集めること)を用いたデータ収集が可能です。旅行アプリでWebスクレイピング機能を活用し、複数の航空会社のWebサイトから価格情報を抽出し、ユーザーに最も安いフライトを提案する機能を搭載できます。
高度な機能を追加するためには、どうしても長いコードや複雑なコードを書く必要があります。しかし、「Python」は一文が短くかけるため、他のプログラミング言語よりも機能を追加しやすいのです。
また、「Python」は初心者にも扱いやすいプログラミング言語とされ、学習コストが比較的低いため、身につけやすいスキルでもあります。
「Python」を習得することで、より多様なアプリ開発のニーズに応えられるので、積極的に身につけたいプログラミング言語といえます。
「Git」の使用スキルは、チーム開発において欠かせないスキルのひとつです。「Git」は、ソースコードの変更履歴を記録・追跡するための管理システムで、プログラムのソースコードのバージョンを管理できます。
「Git」を使うことで、ファイルの変更履歴を管理し、過去のファイルに戻すことができたり、複数人にソースコードを共有したりすることが可能です。チームで開発する際は、「誰が」「いつ」「どのような内容を変更したのか」を共有することが非常に重要であり、「Git」は共有を支援するツールとして役立ちます。
大規模なアプリ開発において「Git」を使ったチーム開発は一般的であるため、「Git」のスキルは必要不可欠といえるでしょう。
開発環境の構築は、アプリ開発を始める前提条件といえるため、必須のスキルといえます。
開発環境を整えるためには、ファイルやフォルダを作成し、インフラを構築して、統合開発環境を準備する必要があります。さらに、コマンドラインでパッケージやライブラリをインストールすることも必要です。
アプリ開発においては、統合開発環境を使用することが推奨されています。なぜなら、統合開発環境にはプログラミングを効率よく行うためのツールが詰まっており、ストレスなく開発に取り組めるからです。
アプリ開発においては、開発環境の整備が非常に重要なため、しっかりと準備してから開発を始めましょう。
アプリ開発のさまざまな手法のなかから、この章では、主に以下の2つの開発手法に焦点を当てて解説します。
それぞれの手法には独自の特徴と利点があり、プロジェクトの要件によって最適な手法が異なるため、それらの違いや適用シーンについてしっかりと理解することが大切です。
作成するアプリの目的に合ったアプローチを選択し、効果的なアプリ開発を進めていきましょう。
ウォーターフォール開発は、まず「どのようなアプリを制作するのか」の全体像を定め、綿密な計画を立て、立てた計画に基づいて決められた手順を守って開発する手法です。
手順は、要件定義、設計、実装、テスト、運用の順序で進めます。ウォーターフォール開発では、一度終わらせた工程には後戻りせず、工程が順序通り進められるため、管理がしやすく、進捗が把握しやすい特徴があります。
しかし、全体像をある程度固めた上でないと開発が進まないため、開発期間が長くなる場合があり、注意が必要です。また、開発期間中にお客様からのフィードバックに対応することが難しいという問題点もあります。
アジャイル開発は、小さな単位で開発を繰り返すことによってアプリを完成させる手法です。
アジャイル開発では、開発途中で仕様変更が起きても、それに柔軟に対応できる仕組みになっています。基本的には、まず基本機能を作り、要望に応じて少しずつ機能を追加して改善するサイクルで進めます。
アジャイル開発の最大のメリットは、開発者やユーザーが詳細な要件を決める前に、実際にアプリを構築してテストできることです。また、ユーザーからのフィードバックを素早く反映できるため、より良いアプリを作れます。
しかし、短いサイクルで開発が繰り返されるため、こまめなタスク管理が必要であり、コミュニケーションの取り方が非常に重要となります。
アプリ開発にはさまざまな手順があります。この章では、アプリ開発の手順について解説します。以下の手順に沿ってアプリを開発することで、より効率的にアプリ開発を進めることが可能です。
アプリ開発にはこのようにいくつかの手順があるため、手順と内容をしっかりと理解し、開発に取り組むことが重要です。
アプリ開発において、要件定義は非常に重要な工程です。要件定義では、アプリでどのようなことを実現したいのか、技術的な観点からどのような要件が必要なのかを定義します。
要件定義を怠ると開発工程で時間がかかったり、作ったアプリが役に立たなかったり、無駄に高機能になって予算オーバーになったりするなど、さまざまな問題が生じます。
開発工程を外注する場合、要件定義は外注先の会社主導で行われるのが一般的です。そのため、企画や要求定義とお互いの認識のズレがないよう、認識を合わせるための打ち合わせが必要です。さらに、要件定義では、どのプラットフォームでアプリを開発するかを決定することも求められます。
要件定義後は要件をもとに基本設計を行い、アプリの基本仕様を策定します。
基本設計はインターフェースやユーザーアクションが定義され、発注者と開発者にイメージを伝える重要な工程です。基本設計が整うことで、開発の手戻りや追加コスト、納期遅延を防ぐことが可能となります。
なお、インターフェースとは、「接点」という英語で、ITにおいてはユーザーとシステムとの接点である規格やルール、あるいは具体的にボタンといった部品のことです。
また、基本設計ができれば、それをもとに詳細設計が行われます。詳細設計は、アプリの各機能の内部仕様を詳細に定める工程で、プログラミング作業を正確に行なうために不可欠な工程です。
基本設計で決定されたシステムの概要をもとに、各機能や動作を具体的に定義します。開発者が理解しやすく、実装に直結した内容に基本設計をより細分化させるのです。変更や拡張が容易なプログラム構造を目指し、システムのメンテナンスやアップデートを考慮した設計を行いましょう。
詳細設計図が完成したら、それに基づきながらプログラミングによる開発が行われます。
通常の開発では、モジュール単位で分解された機能をプログラミングします。作製したモジュールを組み合わせて機能を実現し、最後に機能を統合してアプリを完成させるのです。
テストは、アプリ開発手順の重要な工程です。このフェーズでは、開発されたアプリが仕様通り動作するかを確認し、不具合やバグを修正します。
一般的には、「単体テスト」で各モジュールを検証し、「結合テスト」でモジュール同士の機能を確認、「総合テスト」でアプリ全体の動作をチェックします。
不具合が見つかった場合、修正のために前の工程に戻ることもあり、場合によっては、設計段階まで戻って問題の解決を目指すこともあるでしょう。テスト工程を通じて、品質の高いアプリが完成するのです。
開発が完了し、依頼者による受け入れテストが合格したアプリをリリースする準備が整うと、いよいよアプリ開発の最終段階となります。
モバイルアプリの場合、App StoreやGoogle Playでのリリースが一般的です。たとえば、Google Playへのリリースには以下の4つの手順が必要です。
アプリは審査に合格した後にリリースされますが、不合格の場合は修正が必要です。そのため、審査には余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
アプリ開発の費用は、「アプリの種類」や「搭載する機能」によって大きく変動します。そのため、企画段階では、詳細な機能などが予測しづらいため、開発に必要なすべての費用を具体的に提示することは難しいです。
しかし、これまでのアプリ開発の傾向から、おおまかな費用の算出自体は可能です。
この章では、アプリ開発における費用相場と、それらの見積もりの計算方法について解説します。どのようなアプリを開発しようとしているかによって、必要な費用は変わりますが、これらの情報を、開発プロジェクトの予算計画の指針として活用してください。
アプリ開発における人件費は、エンジニアやプログラマーの作業コストを指します。企業においては、システム開発業界で「人月単価」と呼ばれるものです。たとえば、上級システムエンジニアが1カ月稼働した場合、100~150万円ほどの料金が発生します。
一方、個人で開発を行なう場合は、自分自身の時間と労力を考慮する必要があります。個人開発者がアプリ開発にかける時間は、自身のスキルや経験によって異なりますが、開発期間や作業時間を見積もり、時給換算してコストを算出しましょう。
企業や個人、どちらの立場でも、アプリ開発にかかる人件費を正確に把握することで、プロジェクト全体の費用相場を理解しやすくなります。
アプリ開発において固定費用は、人件費以外の機材や設備費用のことを指し、ドメイン取得やサーバー維持費など、さまざまな項目が含まれます。
アプリを「App Store」や「Google Play」などのアプリストアに登録する際にかかる費用も、固定費用の一部として考慮しなくてはいけません。
企業での開発では、より大規模な設備やサービスを利用することが一般的であるため、固定費用が個人開発よりも高くなる可能性があります。どちらの立場でも、固定費用を正確に把握し、総費用に組み込むことが重要です。
アプリ開発を行なう際には、いくつかの注意点が存在します。これらの注意点を把握し、適切に対処することで、開発プロセスがスムーズに進むでしょう。
ここでは、とくに重要な以下の2つの注意点について紹介し、開発者がどのように対応すべきかを説明します。
アプリ開発においては、日々の学習が欠かせません。毎日の勉強時間を確保し、継続的にスキルを磨くことが大切です。仕事と並行して学習を独学で進める場合、時間を確保するのが困難かもしれませんが、学習を継続することで効果を実感できます。
プログラミングスクールのアンケートによると、エンジニアになるまでの平均的な学習期間は17カ月で、1日の学習時間は4時間24分でした。エンジニアになるまでの学習時間を総合すると、2,244時間にもなるため、毎日のこまめな学習が非常に重要となります。
シンプルなアプリ開発であっても、時間がかかることを認識し、継続的な努力を怠らないことが大切です。
アプリ開発やシステム開発において、エラーやバグは避けられません。それでも、可能な限りエラーやバグを避けるには、日々の学習を通じて、試行錯誤を重ねることが大切です。
エラーやバグに直面した際には、エラーメッセージをコピーして検索する方法が、解決の近道です。初心者が遭遇するバグやエラーといった問題は、基本的に検索することで解決策が見つかることが多いでしょう。
インターネットで検索しても解決できない場合は、プログラミングの質問サイトを活用してみてください。たとえば、「teratail」に質問を投稿することで、経験豊富なエンジニアからアドバイスが得られる可能性があります。
エラーやバグの解決法を自ら見つけ、解消する過程を繰り返すことで、より高いスキルが身につくでしょう。
本記事では、アプリ開発の基本情報、費用、手順についてに説明しました。アプリ開発を始める前に本記事で得た知識を活用して、自分に適した開発方法や予算を見極めましょう。
アプリ開発には、継続的な学習が必要です。努力を続けることで、素晴らしいアプリを作れる可能性が高まります。
本記事を参考にアプリ開発に挑戦し、自分のアイデアを形にする喜びを体験してください。
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