本記事では、RPA(Robotic Process Automation)とは何か、なぜ注目されているのかを解説します。また、RPA導入に向いている業務と向いていない業務について、深堀して説明します。
RPAとは、これまでパソコンでしていた作業を自動化する、ソフトウェアや技術・ルール・その他の取り組みを指します。本記事では、RPAが注目されている理由やどのような業務に向いているのかを紹介します。
目次
RPAは、Robotic Process Automationの頭文字を取った言葉です。人間がパソコンでする作業を、AIやロボット・ソフトウェアで自動化することや、仕組みを指しています。
AIは、人工知能で自ら判断して処理をしますが、RPAをコントロールするのはあくまでも人間です。RPAの動作はすべて人間が決め、RPAの仕組みのなかで人間が決めたルールに従ってロボットが作業をおこないます。そのためRPAは、ルーティンワークや定型的な作業に向いています。
RPAは、指示(記録)と実行で構成されています。RPAを機能させるには、「何をどのような手順で自動化させるのか」をロボットや自動化ツールに指示しなければいけません。
ロボットや自動化ツールは、人間からの指示を受けて、パソコン上で行う動作を自動で実行します。RPAのプログラムはロボットの動作を制御し、業務プロセスを自動化する役割を果たしているため、「ロボット」と呼ばれることがあります。ただし、この「ロボット」は、物理的な機械のロボットではなく、ソフトウェア上で動作する仮想的なロボットのことです。指示によっては、1週間後や1カ月後といった未来の作業を組み込むことも可能です。
RPAが注目されている理由は、主に以下の4つです。
労働人口が減少する中、人手不足の企業は会社を成長させる分野に人的リソースを割こうとします。すると、事務作業をする部門に人材を割くことが難しくなるケースが出てくるのです。
また、生産性の向上や人的コストの削減を図ろうとすると、単純なルーティンワークの自動化ニーズが高まります。指示したとおりに動作するロボットやツールによる作業に移行することで、人的ミスの削減も可能です。
このように、RPAが注目されているのは、社会的な状況の変化やコスト、人的ミスの削減といったメリットがあるからなのです。
ここからは、RPAと似ているいくつかのシステムとRPAの違いを、具体的に見ていきます。それぞれの特徴を理解しましょう。
RPAと似た言葉に、「RDA」があります。RDAは、Robotic Desktop Automationの頭文字を取った言葉です。
RPAとRDAの具体的な違いは以下のとおりになります。
RPA | RDA | |
---|---|---|
導入方法 | サーバーにインストールして、バックエンドで動作する | 作業担当者個人のパソコン(デスクトップ)のみで動作する |
目的 | 人間の作業を完全に代替 | 人間の作業負荷の軽減 |
導入するメリット | ・作業を完全に自動化できるため、人間が介在しなくて済む ・操作時間(タイミング)などをスケジューラーで管理できる |
・人間が行う業務の一部に対応できる ・導入コストが安い |
導入したときのデメリット | ・導入コストが高い ・サーバーなどの環境構築が必要 ・構築した環境の保守運用が必要 |
・RDA動作時、ユーザーは同アプリケーションの操作不可 |
botは、一定のタスクや処理を自動化するためのアプリケーションや、プログラムツールのひとつです。botはRobotの言葉の一部を取った単語で、事前に設定したプログラムに沿って自動で動作します。どちらも人が返答するわけではない点が似ていますが、それぞれの違いは以下のとおりです。
RPA | bot | |
---|---|---|
プログラミング | 不要 | 要 |
エンジニア | 不要 | 要 |
botはプログラミングが必要であり、動作させるには、プログラマーやシステムエンジニアといったITエンジニアのリソースが必要となります。一方で、RPAは、作業手順を記憶させるだけで動作するため、プログラミングが不要でITエンジニアも必要ありません。
AI(人工知能)は、人間が与えた指示を機械が自律的に判断し処理をおこなうものです。人間がおこなっていた作業を機械が代替する点では、RPAとAIは似ています。
RPAとAIの違いは、以下のとおりです。
RPA | AI(人工知能) | |
---|---|---|
機械による判断 | 無 | 有 |
学習期間 | 不要 | 要 |
AI(人工知能)は、手元にあるデータに基づいて、一定の判断をAI自身がしながら処理します。また、人間が意図した正確な動作をできるまでに、学習期間が必要です。一方で、RPAは自ら考えたり判断したりする機能はなく、人間が与えた指示を実行するだけです。そのため、RPAは学習期間の必要がありません。
Excelマクロは、人の作業を自動化する機能のひとつです。定型的な作業を自動化し、人的ミスが軽減する点で、RPAとExcelマクロは似ていますが、以下のような違いがあります。
RPA | Excelマクロ | |
---|---|---|
プログラミング言語 | 不要 | 要 |
複雑でアプリケーションをまたいだ処理 | 可 | 一部のみ可 |
Excelマクロは、Microsoftオフィス製品同士でデータのやり取りや定型的な処理の自動化に有効です。しかし、すべての外部アプリケーションと連携できるわけではありません。一方で、RPAはさまざまなアプリケーションとの連携や、複雑な処理の自動化を一括しておこなえます。
RPAを導入する主なメリットは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきます。
RPAを導入することで、働き方改革が実現できます。たとえば、日次・週次報告などの定型的な作業は、RPAの自動化を活用することで作業コストの削減が可能です。人間の手が必要だった作業を自動化すると、その分の工数が不要になるため、より効率的な働き方が実現できます。
RPAによって業務の自動化が実現すると、業務の精度を向上できます。優秀な人材でも、ミスをすることは少なからずあります。しかし、ロボットにより作業が自動化されると、人的ミスが起こらないため、業務の精度をさらに高くすることが可能です。
RPAを導入する主なデメリットは、以下の3つです。
それぞれ解説します。
RPAは、導入コストが高額になる傾向にあります。RPAには以下のような種類があり、それぞれコストが異なります。
中でも、クライアント・サーバー型のRPAは、年間で数百万円かかる場合もあるほどです。
一方で、デスクトップ型やクラウド型のRPAは、月に十数万円で利用できるものがあるため、業務の規模や目的に応じたRPAを選んでください。
RPAはまだ歴史が浅い技術なので、RPAの経験者が不足しています。そのため、導入にあたっては、RPAの知識習得や運用準備に時間を要する場合も多いです。
運用までの時間を十分に確保し、学習動画やマニュアルの作成などで従業員へ周知しましょう。
RPAは単純なシステムではないため、導入時にはどのような業務をRPAで自動化するのかを確認しておく必要があります。RPAは、定型的な作業を自動化し、効率化できるものです。自動化したい業務は都度変化するため、柔軟に調整できるように、RPAの専門家を配置してRPAを運用・管理・検証するチーム体制を構築することが求められます。
ここからは、どのような業務がRPAの自動化に向いているのかを紹介します。RPAの導入に向いている主な業務は、以下の5つです。
パソコンだけで完結する定型的な業務は、RPAで自動化することが可能です。たとえば、登録されたデータを別のアプリケーションで処理し、データベースでの管理やデータ出力表を作成する作業です。Webサイトから決まったデータを収集する作業も、パソコンで完結する定型業務といえるため、自動化できます。
一定のルールに沿った定型的な作業は、RPAの導入で自動化できます。手順をルール化しやすいため、ロボットに指示しやすいのです。定期的なデータのチェックや給与計算・型の決まったデータの登録などは、定型作業なのでRPAでの自動化が可能です。
繰り返しおこなう作業は、RPAの導入で自動化できます。たとえば、単純なデータ入力などはRPAで手順を設定するだけで自動化することが可能です。
ビッグデータの分析も、RPAで自動化できます。ビッグデータとは、人間では把握できないほどの膨大な量のデータ集合のことです。ビッグデータは、情報量が多く、更新の頻度も高いため、人間が取り扱うと非常に時間がかかってしまいます。たとえば、天気予報をおこなうための気象データや、観光地の人出予測のためのGPSを利用した位置情報のデータなどがビックデータです。
利用目的に沿って適切に指示することで、人間では処理が困難なビッグデータの分析をRPAで自動化できます。RPAで適切にビッグデータが分析できれば、企業のさまざまな業務に貢献が可能です。
さまざまなシステムの管理は、RPAで自動化できる作業のひとつです。とくに、システムの管理のうち、社内・社外のシステムと連携するものが該当します。具体的には、データの入力作業や金融機関の取引です。たとえば大手都市銀行では市場バンキング業務において、RPAで市場商品の取引データの入力を自動化する「音声入力システム」を稼働させ、効率化を図っています。
RPAは万能ではなく、不向きな業務もあります。ここからは、RPAには向いていない業務について解説していきます。RPAに向いていない業務は、主に以下の3つです。
作業の中で、人間の判断が求められる業務は、RPAの自動化には向きません。なぜなら、RPAは人間の作業を、機械やシステムによって完全に代替する目的で導入するものだからです。たとえば人間の判断が必要になることが多い顧客対応や、判断すべき要素が多い経営戦略の立案や予算編成などは、RPAによる自動化は向いていません。そのため、人間の判断が必要な作業を少しでも自動化したい場合は、RPAではなくRDAの導入を検討してください。
作業量が少なく短時間で終わる業務も、RPAには不向きです。作業量が少ない業務は人的コストも軽微なため、自動化してもあまりメリットがありません。RPAを導入し運用するコストのほうが、人件費よりも高くなってしまう可能性もあるでしょう。
RPAは例外が発生する頻度が高い業務には、向いていません。なぜなら、例外が発生するたびにRPAのロボットを修正する必要があり、人の手と判断が必要になるからです。そのため、RPAを導入する際には、例外が発生する頻度を考慮することが求められます。
例外が発生する頻度が低く、例外も含めて自動化できる業務であれば、RPAは非常に有効なツールです。
RPA導入前に自社の業務をよく分析し、対象の業務のうちテンプレート化している作業はどこまでかを把握することで、RPAに適しているかどうかを判断できるでしょう。
ここからは、RPAを導入する流れを解説します。どのような手順で進めればよいのか、RPAの導入を検討している方はぜひ確認してください。
まずは、RPA導入の目標を設定します。導入の目標を明確にしなければ、RPAを導入した成果が可視化できません。
導入の目標を決めるには、現状の業務プロセスを見直すことから始めましょう。
上記の点に注目しながら、業務プロセスを見直してみてください。たとえば、RPA導入の目標は、「完全自動化できる業務プロセスを10件、人的コストを100万円削減する」のような内容です。
まずは、完全に人間の手を排除して自動化できる業務プロセスの有無を把握し、その業務量を洗い出します。さらに、完全に自動化することで軽減できる人的コストを洗い出すと、RPAを導入するコストとのバランスがわかります。
自動化できる業務プロセスと人的コストが目標に達した場合は、RPA導入を前向きに検討してよい、と判断できるでしょう。
自動化できそうな業務プロセスを洗い出し、RPAの導入目的が明確になったら、どのRPAツールを導入するか決定します。
RPAツールを選ぶときは、以下のポイントを考慮しましょう。
ツールを評価するときは、複数の担当者で客観的に評価し、自社に適したRPAツールの導入を検討してください。
導入するRPAツールが決まったら、トライアルをおこないます。実際にツールに触れて操作しなければ、ツールと自社業務との相性を判断できません。トライアルの際にも、RPAツールを選定したときと同様に、複数人で使いやすさやコストメリット・操作性の評価をおこなうことがおすすめです。
トライアルを終えたら、トライアルで見えた課題をフィードバックします。課題を確認したうえで、自社で本格導入できると判断したRPAツールの導入準備を進めてください。
RPAを導入することで、これまで人間がおこなっていた定型作業を完全に自動化できます。RPAを導入して得られるメリットは、従業員の作業負荷や人的ミスの軽減・業務精度の向上などです。
ただし、RPAは万能ではないため、向き不向きな業務があります。また、導入までにはすべきことも多くあります。完全に自動化できる作業がどれくらいあるのか、自動化することでどれくらいのコストが軽減されるのかなどを、導入前に確認しましょう。
長期的な視点でメリットが大きい場合は、自社に合ったRPAを導入してみてください。
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