プログラミング

最終更新日: 2024.01.30 (公開: 2024.01.30)

スクラム開発とは?意味やメリット、アジャイル開発との違いを解説

スクラム開発とは?意味やメリット、アジャイル開発との違いを解説

スクラム開発 (scrum) とはアジャイル手法のひとつで、少人数のチームがお互いにコミュニケーションをとりながら、期間を区切って開発する手法です。本記事では、スクラム開発の意味や特徴・導入するメリット・デメリットを解説します。

スクラム開発とは?

スクラム開発とはアジャイル手法のひとつで、少人数のチームに分かれ短期間の開発サイクルを繰り返しおこなう手法です。ラグビーのプレーにあるスクラムが語源になっています。

スクラム開発には、少人数のチームごとに役割やタスクを設けて互いにコミュニケーションをとりながら開発をおこない、価値観や役割を明確化することで、チームが継続的に開発プロセスを改善していきます。

アジャイル開発との違い

アジャイル開発は、開発工程の中で仕様変更があるのは当たり前という考えを念頭に置き、ソフトウェア開発において機能ごとに開発とテストを繰り返していく手法です。アジャイルは直訳すると素早い、頭の回転が速いなどの意味があるため、開発現場では短い期間で素早く開発ができるという意味になります。

アジャイル開発では、大まかな計画を軸としながらも、後の仕様変更や設計の変更をある程度前提として開発をおこないます。そのため、そのときのニーズに合うようにプロダクトの設計を進めることが可能です。

スクラム開発の特徴とは?

スクラム開発には、次のような特徴があります。

  • 少人数で開発を進める
  • チーム内のコミュニケーションを重視する
  • 短期間で開発を進める

特徴をしっかりと把握し、全体の概要を理解してください。

少人数で開発を進める

少人数で開発を進めることは、スクラム開発の特徴です。スクラム開発は、基本的に5名から10名程度の少人数でおこなわれます。少人数に絞りメンバー同士の密接なコミュニケーションをとるために、日々ミーティングをおこなう手法です。

ときにはクライアントも巻き込みながら、すべてのメンバーがすべてのフェーズに関わっていきます。また、進捗やスケジュール管理も開発チームでおこない、プロジェクトマネージャーを配置しないという特徴もあります。

チーム内のコミュニケーションを重視する

役割やタスクを明確化するため、チーム内のコミュニケーションが重要です。スクラム開発では、チームメンバーがそれぞれ役割やタスクを持ち開発を進めます。そのため、従来の開発手法では気づいた人が対応するという形式と比較すると、非常に効率のよい開発が可能です。

しかしスクラム開発ではコミュニケーションを頻繁におこなうため、コミュニケーションの頻度で開発スピードが大きく変わります。チーム内のコミュニケーションを重視することで、効率のよい開発をおこなえます。

短期間で開発を進める

短期間で開発を進めることもスクラム開発のメリットです。スクラム開発では、各要件をスプリントという単位に分割することで、開発を進めていきます。1つのスプリントは短くて1週間で、長くても4週間ほどと短期間の区切りになります。

スプリントとは、プロダクト開発に必要な計画・設計・実装・テストの工程期間です。期間内で定めたスプリントを回して開発を進めることで、効率のよい開発ができます。

スクラム開発を導入する3つのメリット

スクラム開発を導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 効率的な作業が可能
  • 作業の工数を正確に見積もれる
  • 軌道修正が早めにできる

ここからは、それぞれのメリットについて解説していきます。

効率的な作業が可能

スクラム開発を導入する1つ目のメリットは、効率的な作業できることです。スクラム開発では、個人の役割やタスクを設定してチームメンバーが密接なコミュニケーションをとることで開発を進めます。

また、スプリントで期間を設けて必要とされている機能の開発・実装を短いスパンでおこなうことが可能です。これがスクラム開発をおこなう上での大きなメリットとなります。

作業の工数を正確に見積もれる

スクラム開発を導入する2つ目のメリットは、作業の工数を正確に見積もれることです。スクラム開発では、スプリント単位で開発を区切りその単位を元に役割とタスクを決定するため、開発工数の見積もりが正確になります。

ウォーターフォールのような従来の開発手法では、プロジェクト序盤で数ヶ月先から数年先のことまで見積もるため、開発が進むと工数の増減が大きくなるという問題がありました。工数の変化を前提とし、柔軟な対応をとれるスクラム開発だからこそ実現できるメリットです。

軌道修正が早めにできる

スクラム開発を導入する3つ目のメリットは、軌道修正が早めにできることです。スクラム開発では要件定義・設計・実装・テストなどの工程を回していくため、現在作成している機能が適切かを定期的に確認します。

そのため、作成している機能がクライアントの要望と違う方向になっても、早めに間違いに気づくことができるため素早い軌道修正が可能です。これは、開発の第1フェーズが完了してからクライアントに制作物を確認してもらうウォーターフォール開発とは大きく異なります。

スクラム開発を導入する2つのデメリット

スクラム開発の導入には、以下のようなデメリットもあります。

  • 高い技術力が必要
  • 全体のスケジュールを把握しづらい

ここからは、これらのデメリットを解説していきます。

高い技術力が必要

スクラム開発を導入する1つ目のデメリットは、チームメンバー1人ひとりに高い技術力が必要だということです。スクラム開発では、短期間での開発を5名から10名程度の少人数で進めていき、各メンバーはすべての開発フェーズに関わっていきます。

そのため、経験の浅いメンバーの参加やメンバーが途中で離脱した場合は、プロジェクト全体が影響を受けやすくスムーズな開発振興が困難になります。一定水準以上の技術力を持つメンバーを集めることが重要です。

全体のスケジュールを把握しづらい

スクラム開発を導入する2つ目のデメリットは、全体のスケジュールを把握しづらいことです。スクラム開発は、仕様変更や設計の変更を度前提として開発をおこなうため、柔軟な開発が可能です。

しかし、開発内容が仕様変更の度に変わると、全体的なスケジュールの把握が難しくなります。その柔軟さゆえに長期的なスケジュール管理がしづらくなることは、スクラム開発が持つデメリットです。

スクラム開発の流れ

スクラム開発は、以下のような流れで実施されます。

  • プロダクトバックログを作ろう
  • スプリントランニングを進めよう
  • スプリントを始めよう
  • スプリントレビューで改善しよう
  • スプリントレトロスペクティブで振り返ろう

スクラム開発の流れを把握して、実際に進めてみてください。

プロダクトバックログを作ろう

まずは、プロダクトバックログと呼ばれる、どの要望から着手するかプロダクトの優先順位を付けてリストしてまとめます。
プロダクトバックログを使用することで、最終的な目標を見据えながらチームメンバーに効率的なタスクの振り分けが可能にです。

またプロダクトバックログは、開発者が発注者と情報を共有する際にも使用されます。そのため、開発チームのみで伝わる専門用語ではなく一般的なわかりやすい言葉で記述する必要があります。

スプリントランニングを進めよう

次に、スプリントランニングを進めていきましょう。ゴールを決めて達成にはどのような作業が必要か、計画などを話し合います。そしてスプリントミーティングの内容を元に、スプリントバックログと呼ばれるスプリントで実装する項目を一覧で作成します。

プロダクトバックログとは違い、スプリントバックログは発注者側には共有されません。開発側のみが、開発のために作成し使用するリストです。

スプリントを始めよう

スプリントミーティングをおこないスプリントバックログを作成したら、実際にスプリントを開始します。一般的なスプリントの長さは1週間から4週間ほどですが、すべてのプロジェクトが同じ期間になることはありません。

スプリントを実行している間、開発メンバーはデイリースクラムというミーティングを毎日おこない、進捗をチームで共有しながら開発を進めます。デイリースクラムは、スクラム開発を成功させる上で欠かせない重要なイベントです。

スプリントレビューで改善しよう

スプリントの最終日には、開発した機能についてスプリントレビューをおこないます。スプリントレビューは、開発側だけでなくクライアント側にレビューしてもらう場合もあります。

レビューからフィードバックを得たら、今後必要なものやどの程度が実現可能か考えるのが目的です。必要に応じて、プロダクトバックログの見直しや次回のスプリント内容を検討します。

スプリントレトロスペクティブで振り返ろう

スプリントレビューを実施し、問題がなければスプリントレトロスペクティブをおこないます。スプリントのよかった点や悪かった点、メンバーの自己評価などをおこない、次のスプリントへ向けたメンバーでの議論が目的です。

スクラム開発では、この振り返りがとても重要です。発生した課題や問題について話し合い、次のスプリントで同じ問題が発生しないように対策を取ります。

スクラム開発に適した案件とは?

スクラム開発は、後に更新が必要なシステムの開発に適した開発手法です。運用型のWEBサイトや常に更新の必要があるアプリケーションの開発など、納期よりも品質を優先するべき案件に適しています。

しかし更新があまり必要のないアプリケーションの開発や、納期を優先・確定させたい場合などは、ウォーターフォール開発などスクラム開発以外の開発手法を選択した方がよい成果をあげられるかもしれません。

システム開発を検討する際には、その案件を見極めて、最大の成果をあげる開発手法がどれかを選択します。

スクラム開発に適した案件かどうかを見極めよう

アジャイル手法のひとつであるスクラム開発は、各要件をスプリントという単位に区切り短期間で開発を進めることで、効率的で柔軟な開発ができる手法です。デイリースクラムやスプリントレビューなどのプロセスを用いることで、チーム内で進捗や問題・課題の共有をおこない、軌道修正も素早く対応できます。

システムやアプリケーションを開発する際には、適切な開発手法を選ぶことが重要です。開発手法の選択の際には、その開発がスクラム開発に適した案件であるかを見極め選択をしましょう。

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