子どもから大人まで幅広い年齢層で楽しめる、ビジュアルプログラミング言語の「Scratch」について紹介します。プログラミングをする際に利用すべき理由や身につくこと、導入方法・おすすめの学習書籍も紹介します。
「Scratch」は、子どもから大人まで幅広い年齢層で楽しめるビジュアルプログラミング言語です。本記事では「Scratch」でプログラミングをするべき理由や身につくこと、できることを解説します。また、「Scratch」学習におすすめの書籍や導入方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
「Scratch」は、子どもから大人まで幅広い年齢層で楽しめるビジュアルプログラミング言語です。2020年から始まった小学校のプログラミング教育必修化でも注目されており、今後ますます利用範囲の広がりが予想されています。
ビジュアルプログラミング言語とは、実現したい機能を簡単に実装できる言語です。文法に基づいた指示が書かれたビジュアル部品を、自分が意図した通りに動作するよう組み合わせます。
一般的なプログラミング言語のように定められた文法に従い、キーボードを使ってコードを書くような難しい言語ではありません。つまり「JavaScript」や「Python」など、従来のプログラミング言語の文法を覚える必要はないのです。
ビジュアルプログラミング言語を使えば、パズルのようにビジュアル部品(ブロック)を組み立て、直感的にプログラムを組めます。
「Scratch」は、プログラミングをこれから学ぶ初心者におすすめのプログラミング言語です。「Scratch」を利用したプログラミング学習には、主に以下のような3つのメリットがあります。
それぞれ詳しく解説します。
無料で利用できることは、「Scratch」を利用してプログラミングを学習するメリットの1つです。「Scratch」は、利用する際に会員登録やインストールの必要がなく、インターネット環境とパソコンやタブレットがあれば誰でも簡単に始められます。また、ブラウザ上で動作するWebアプリケーションのため、アップデートなどの作業をおこなわなくても常に最新の状態で利用できるのも魅力です。
「Scratch」は、多くの機能を持ちながら無料で利用でき、学校や家庭など使う目的や場所を選びません。
直感的な操作でプログラミングできることも、「Scratch」でプログラミング学習をするメリットです。「Scratch」は、あらかじめ指示(機能)が書かれたブロックを組み合わせるだけでプログラミングできます。操作もドラッグ・アンド・ドロップが主であるため、直感的にプログラミングができる言語です。
ブロックの色も機能ごとに分けられており、わかりやすくなっています。たとえば、「動き」「見た目」「音」などのおおまかな機能ごとに、ブロックの色が変えてあります。「Scratch」ではキーボードを操作する必要がないため、タッチタイピングができなくても、漢字が読めなくても問題ありません。
コードを書かずにプログラミングが可能なため、言語の文法を理解していなくてもプログラミングの概念を学べます。
Scratchコミュニティで世界中に作品を公開できる点は、「Scratch」でプログラミング学習をおこなう大きなメリットだといえます。「Scratch」で作られたプログラムは、プロジェクトと呼ばれます。「Scratch」で作成したプロジェクトは誰でも、Scratchコミュニティで公開することが可能です。Scratchコミュニティで公開されたプロジェクトは、世界中の「Scratch」ユーザーが自由に閲覧・動作できます。
自作のScratchプロジェクトを世界中のScratchユーザーに利用してもらえるだけでなく、他の人が公開しているプロジェクトで遊ぶことも可能です。Scratchコミュニティを通じて他のプロジェクトを見たり遊んだりすることで、「こんな動きや機能を実装できる」という学びも得られます。
「Scratch」は、子どものプログラミング学習教材として、学校での授業に使用されるケースが増えています。子どもの学習だけでなく、プログラミング未経験の方にも、プログラミングとは何かを知るのに「Scratch」はよい教材です。
「Scratch」を使えば、次のようなスキルや能力を習得できます。
それぞれ詳しく解説します。
「Scratch」を使うことで、論理的な思考能力が身につきます。「Scratch」では、さまざまな機能を持ったブロックの組み合わせでプログラミングをします。そのため、「Scratch」を使ってプログラミングしていくうちに、論理的に考える能力が自然と身につくでしょう。
実際に作品を作っていくうちに、思わぬ動きになってしまったり、自分ではわからないことが出てきたりするなど、さまざまな課題が生まれます。生まれた課題をトライアンドエラーで解決していくことで、論理的な思考能力の向上にも役立つでしょう。
「Scratch」を使うことで、共に学んでものを作る共同作業が体験できます。学校向けの学習教材や、一般のプログラミング教室用教材として「Scratch」に触れる場合は、数名のグループに分かれて「Scratch」でのプログラミングに取り組むことがあります。プログラムに不具合が出た際には、「どこが問題なのか」「どうしたら直せるのか」などもグループで話し合いながら解決のために作業をおこなうため、共同作業が体験できるのです。
グループでの共同作業は、一人で問題に直面したときより挫折しにくくなるのがメリットです。うまく問題を解決できたときには、仲間と共に1つの仕事を完成させた大きな喜びと達成感を得られるでしょう。
「Scratch」を使うことで、他のプログラミング言語への興味を持てます。
「Scratch」でゲームを作成した子どものコメントによると、
といった課題解決の取り組みを、自らおこなっていることがわかります。
また、実際にゲームを遊んだ人たちからのコメントによる改良点の気づきや、バグを知ることで、自分ではなかなか気づかないようなことも見えてきます。
「Scrach」を通してプログラミングの概念や基礎を学び、プログラミングの楽しさや新たな学びへの興味を得ることが、他のプログラミング言語を学ぶきっかけになるのです。
Scratchコミュニティで自作のプロジェクトを公開すれば、まだ習得していない知識に触れ、学習意欲の向上にもつながるでしょう。
「Scratch」でプログラミングに対して興味を持ち、さらに複雑なゲーム作成をしたいと思ってもらうことで、他のプログラミング言語の学習にもつながります。
ひとことで「Scratch」でプロジェクトを制作するといっても、「Scratch」でできることはさまざまです。ここからは、実際に「Scratch」を使用してどのようなことができるかを、具体的に3つ紹介します。
「Scratch」を使用してできることの1つ目は、簡単なゲームやアニメーションの作成です。
本来プログラミングでゲームやアニメーションを作るには、専門的なプログラミングの知識が必要です。しかし、「Scratch」を使えば、専門的な知識や技術がなくても簡単なゲームやアニメーションであれば、すぐに作成できます。
さらに、「Scratch」では、「イベント」や「演算」、自由に定義できる「変数」あるいは拡張機能を組み合わせることで高度なプログラミングも可能です。経験を積むことで、完成度の高いゲームやアニメーションの作成もできるでしょう。
「Scratch」を使用してできることの2つ目は、ロボットへの指示だしです。「micro:bit」などのマイコンボードと「Scratch」を連携させ、「Scratch」を使ってロボットを制御できます。
ロボット制御のためのプログラミングを、ロボットプログラミングといいます。画面の中だけでなく、現実にあるものをプログラミングで実際に動かすという経験は、さらなるプログラミングの魅力に触れるよい機会になるはずです。
「Scratch」はネットリテラシーを学ぶ場として、「Scratch」コミュニティも提供しています。「Scratch」コミュニティでは、ユーザーが世界中の利用者とコミュニケーションを取り、作成したゲームについて情報を交換することが可能です。
「Scratch」コミュニティはユーザーに多数の子どもが含まれていることを考慮し、適切な「コミュニティガイドライン」を設定して、安心して会話を楽しむことができる環境を整えています。
ガイドラインには「すべての人に対する敬意を保つ」「個人的な情報や連絡方法を公開しない」といった、インターネットリテラシーにおいて重要なルールが明記されています。
子どもたちだけでなく大人もこれらのガイドラインに従ってコミュニケーションをおこなうことにより、インターネットリテラシーを自然に学べるのです。
「Scratch」を書籍で学習したい方に向けて、以下のおすすめの書籍を4冊紹介します。
習熟度別に紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
「いちばんはじめのプログラミング」は、「Scratch」が小学3年生から理解できるように書かれた本です。作者は元々ゲームプログラマーで、読み進めていくことで簡単なゲームが作れるように工夫した内容になっています。
まずは音を出したり計算したりする簡単なプログラミングからスタートし、最終的には複雑なゲームを作成できるところまで学べます。小学3年生程度から中学生程度の知識レベルで解説されているため、大人がプログラミングを学ぶ教材としてもわかりやすい内容です。
「いちばんはじめのプログラミング」には画像素材データも付属しており、キャラクター画像をダウンロードすることでそのキャラクターを使ったゲームの作成も可能です。
「小学生からはじめるわくわくプログラミング2」は、プログラミング学習未経験の小学3年生でも理解できるような構成になっています。Scratch 3.0の拡張機能を取り入れた作品作りができるのが特徴です。算数や理科など学校で学ぶ基礎教科と図工を組み合わせたカリキュラムが設定されており、実際に小学校で習う教科に関連したプログラムが作成できます。
プログラミング教育に興味がある子どもや先生が、一緒にプログラミングを学習することにも適した内容です。
できるキッズ 子どもと学ぶ Scratch プログラミング入門
プログラムの応用例や、作成したプログラムがなぜその動きをするのかという構造面の学習もできます。入門編の「Scratch」をマスターした方の、次のステップとしておすすめの本です。
またレッスンごとにサンプルのダウンロードができ、途中で間違っても続けやすい構成になっています。
Scratch 3.0対応版 10才からはじめるプログラミング図鑑
入門編の「Scratch」をマスターした方におすすめの本です。8つのオリジナルゲームを作っていく過程で、プログラミングの学習ができます。
またプログラミング言語の1つである「Python」の、インストール方法から条件分岐・繰り返し処理などの基礎を学習できる章も用意されています。「Scratch」から一歩先のコーディングが必要なプログラミング言語を学ぶきっかけにもなる本です。
ここからは、「Scratch」を始める手順について紹介します。プログラミング初心者がつまずきがちな開発環境の設定をしなくても、ブラウザ版の「Scratch」は簡単に使えます。導入手順は以下の通りです。
ここからは上記の手順での「Scratch」導入方法と、ブラウザ版とダウンロード版の違いについて解説します。
まず、「Scratch」のアカウントを作成しましょう。「Scrach」の公式サイト
にアクセスしてください。
引用:Scratch – Imagine, Program, Share
次に、リンク先画面の右上にある、「Scratchに参加しよう」というリンク(下図赤枠部)をクリックします。
「Scratchに参加しよう」をクリックすると、アカウントの登録画面にジャンプするので、ユーザー名とパスワードを入力します。その後も画面に従って、現在住んでいる国や性別を入力していきましょう。
最後にメールアドレスを入力し、「アカウントを作成する」をクリックすれば、「Scratch」のアカウント作成は完了です。
「Scratch」には、「ブラウザ版」と「ダウンロード版」の2種類があります。ブラウザ版は、Webページを閲覧するために使用する「Google Chrome」などのインターネットブラウザで利用することが可能です。パソコンにデータをダウンロードする必要がないため、パソコン内の容量を使わず、気軽に「Scratch」を使えます。ただし、インターネット環境がなければ利用できない点には注意が必要です。
ダウンロード版は、パソコン内に「Scratch」をダウンロードし、インストールすることで利用できます。ブラウザ版とは違いインターネット接続しなくても利用でき、場所を選ばず「Scratch」の勉強ができるのが魅力です。
自分の学習環境や学習方法に合わせ、ブラウザ版とダウンロード版を選択しましょう。
プログラミングをするにあたって、論理的に考える力はどのプログラミング言語でも必要です。小さな処理だけでなく、Webサービスやアプリケーション全体の仕組みを考えるときに、最適な処理や画面の内容を考える必要があるからです。
エンジニアを目指している方は、「Scratch」を使ってプログラミングとはどのようなものか知ることをおすすめします。「Scratch」は初めて使う方も扱いやすく楽しく学習できるように工夫されているので、一度使ってみてはいかがでしょうか。
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