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最終更新日: 2023.11.02 (公開: 2023.11.01)

DXとは何か?IT化との違いやその必要性、DXの進め方を解説

DXとは何か?IT化との違いやその必要性、DXの進め方を解説

DXとは「Digital Transformation」という言葉の略称で、日本語では「デジタル変革」という意味です。本記事では、DXの概要やIT化との違い、必要性や進め方について解説します。

DXという言葉を聞いたことがあっても、具体的に何をどうすればいいのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。本記事では、DXの概要・IT化との違い・必要性・進め方などを解説します。

DXとは?

DXとは?

DXは「Digital Transformation」という言葉の略称で、日本語では「デジタル変革」という意味になります。主に企業がIot・AI・ビッグデータなどのIT技術を導入して、これまでアナログで行っていた業務をデジタル化・オンライン化することにより、業務効率の改善を図るものです。

スマートフォンやPCなどが普及したことによって、ビジネスに限らず一般社会においてもオンラインでのやりとりが活発になってきました。すでに人々の生活はデジタルとは切り離せない状態になっているため、企業のDXの取り組みは、時代の流れに乗るために必要不可欠です。

今後はIT企業に限らず多くの企業が、業務のDX化を進めていくことが予想されるでしょう。

DXとIT化の違いとは?

DXとIT化はイメージが似ているため混同されることもありますが、それぞれ異なる意味の言葉です。ITとは「Information・Technology」という言葉の略称で、インターネット・コンピューター・情報技術などの総称です。IT化とは主に、既存のアナログシステムや技術をデジタル化させて、業務効率や生産性の向上を図ることを指します。

一方でDXは、既存のシステムをデジタル化させることや効率化を図る意味だけでなく、企業や社会など組織の仕組みをデジタル化によって変化させることを意味しているのです。

IT化は、DXを進めるための手段であり、DXの一部であることを理解しておいてください。

DXが注目される2つの理由

DXが注目される2つの理由

DXが注目されるようになったきっかけは、2018年に経済産業省がまとめたDXレポートにあります。

DXレポート

引用:D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~|経済産業省

DXレポートでは主に以下2つの問題が指摘されています。

  • 2025年の崖
  • DXを阻むレガシーシステムとIT人材の枯渇

他にもさまざまな理由がありますが、主に注目されている理由は以上2つになります。ここでは、DXが注目される2つの理由について、それぞれ解説します。

2025年の崖

2025年の崖

引用:D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~ 20ページ|経済産業省

2025年の崖とは、2025年もしくはそれ以降までにDXを実現させられなかった場合に発生する経済損失のことです。現在、世界中でDXへの取り組みは盛んになっていますが、日本ではDXを進められていない企業や組織が多く存在しています。

デジタル変革(DX)は、現代のビジネス環境において競争力を維持・強化するための重要な要素です。多くの日本企業が世界的なデジタル競争で後れを取ると、新しいビジネスチャンスの損失や市場シェアの低下など、さまざまなビジネス上のリスクが高まる可能性があります。経済産業省の予想によると、損害は毎年12兆円にのぼるとされており、万が一「2025年の崖」問題が現実に起こると、日本経済にとって大きな損失を及ぼします。

「2025年の崖」のリスクに対して十分な対策ができなければ、市場や顧客ニーズなどに十分に対応できず、さらに大きな損失を発生させる可能性があるのです。

DXを阻むレガシーシステムとIT人材の枯渇

DXが注目される2つ目の理由は、DXを阻むレガシーシステムとIT人材の枯渇にあります。レガシーシステムとは、旧式のコンピューターシステムやソフトウェアのことです。通常は長期間にわたって使用されてきたシステムや、古いテクノロジー、プログラミング言語に基づいて構築されたシステムを指します。

レガシーシステムの特徴は、更新や改善が難しいことです。古いテクノロジーやプログラミング言語に基づいているため、新しい機能の追加やシステム全体の変更が困難であり、メンテナンスや修正に時間と労力、多大な費用がかかる傾向があります。

日本企業の中には、現在でもレガシーシステムをメインで使用している会社もあります。しかし、レガシーシステムを新しいシステムに切り替えるために必要なIT人材も不足しているため、なかなかDXを進めることができない状態です。

IT市場ではIT人材不足が続いており、2030年にはさらに深刻化することが予想されます。DXを阻む要因に対して早急な対策を行うことで、多くの企業がDXを進められることが社会全体の急務となっているのです。

企業のDXの現状とは?

企業のDXの現状とは?

企業のDXの現状は、アメリカなどの先進国と比較すると、あまり進んでいないといわれています。2021年に発表されたDX白書の調査結果では、DXに取り組んでいる企業の割合が、アメリカでは79%であるのに対して、日本では56%と大きな差があります。

DXの現状

引用:情報処理推進機構(IPA)「IPA DX白書2021」2021年10月 図表11-1

ただ、日本でも2022年は2021年より日本企業全体でDXに取り組む企業の割合が増加していることから、今後も増加していくことが予想されています。

図表1-7

引用:情報処理推進機構(IPA)「IPA DX白書2021」2023年3月 図表1-7

しかし、日本企業の中でも大企業の約4割はDXへの取り組みを行っているのに対して、中小企業は1割ほどにとどまっているのが現状です。

DXの取組状況

引用:情報処理推進機構(IPA)「IPA DX白書2021」2023年3月 図表1-8

このことからもわかるように、規模の小さい企業が積極的にDXを進めていくことが、日本の課題になっています。

DXにおける4つの課題

DXにおける4つの課題

DXを進めていくにあたってはさまざまな課題がありますが、その中でも主に以下4つの課題解決が重要です。

  • 経営層のDXへの理解・取り組み不足
  • IT人材の不足
  • 旧来のレガシーシステムの問題
  • ベンダー企業との関係性の問題

DXは個人ではなく組織や企業全体で取り組んでいく必要があるため、上記の課題を解決しなければ、DXはスムーズに進みません。ここでは上記4つの課題について、それぞれ解説します。

経営層のDXへの理解・取り組み不足

1つ目の課題は、経営層のDXへの理解・取り組み不足です。DXは組織や会社の中で個人が進めようとするものではなく、経営層がDXの重要性やメリット、デメリットをしっかりと理解したうえで、積極的に取り組むことが求められます。

経営層のDXへの関心や理解が不足していると、デジタルに対する投資や取り組みも軽視され、なかなかDXが進みません。またDXという言葉の意味を深く理解していない場合、DXをIT化と混同して理解するおそれもあります。理解があいまいな場合、業務改善や生産性の向上は実現できても根本的なDXは実現できません。

DXを進めるためには、経営層がDXへの理解を深めて積極的に取り組むことが重要です。

IT人材の不足

2つ目の課題は、DX人材の不足です。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めるプロフェッショナル人材の必要性が急速に高まっています。しかし、依然としてDXに精通した人材の不足が深刻な問題となっており、企業はその質と量の両面のスキルを満たす人材を探し続けている状況です。

DX人材が不足している理由は、企業における従業員再教育(リスキリング)のサポート不足、キャリアパスの形成や学習の機会を提供するといった施策を十分に取り組んでいなかったため、といわれます。また、企業内で求められるDX人材のイメージが明確でない、あるいは情報が社内に広く共有されていなといった問題もあります。企業のDXを推進するには、まずDXに精通した人材の育成が急務となっているのです。

旧来のレガシーシステムの問題

3つ目の課題は、レガシーシステムの存在です。上記でも解説しましたが、レガシーシステムとは古くなったシステムや仕組みのことです。レガシーシステムをメインに業務を行っている企業は、日本全体でも多く存在しており、DXの足を引っ張る存在となっています。

古いシステムは、何度も改修のためにプログラムを組み直しています。そのため、システム内部が複雑化やブラックボックス化(改修の内容や具体的な改修箇所の資料がなく、誰も当時の状況を説明できないこと)しており、システムの維持管理費が高騰する要因となっているのです。

DXを進めるためには、これらの課題を解決させる必要があります。しかし、現時点では多くの企業が高額な維持費の支払いに追われて、DXを進められていない状況です。したがって、レガシーシステムを代替させることも、DXを推進する重要な要素となります。

ベンダー企業との関係性の問題

4つ目の課題は、ベンダー企業との関係性です。販売会社であるベンダー企業とユーザー企業の関係性は、相互依存関係になっており、IT業務をすべてベンダー企業に受託している企業がほとんどです。

ベンダー企業にIT業務を委託した場合、報酬は成果物の質や評価ではなく労働量によって決まるので、最新技術や開発投資などには対応してもらえず成長が止まってしまうケースもあります。さらにベンダー企業にIT業務を委託することで、自社内のIT対応能力は成長しません。したがって、現在のベンダー企業との関係性を改善させることも、企業が独自でDXを進めるために非常に重要な課題の1つといえます。

DXにおける課題を解決するための5つの方法

DXにおける課題を解決するための5つの方法

DXにおける課題を解決するための方法はいくつかあります。その具体的な方法は、主に以下の5つです。

  • 経営層がDXを理解し、具体的な経営戦略を示す
  • IT人材の確保・育成をする
  • DXのための社内体制を全社規模で打ち立てる
  • レガシーシステムへ対応する
  • システム開発体制・手法を抜本的に見直す

ここでは、課題を解決させる上記5つ方法について、それぞれ解説します。

経営層がDXを理解し、具体的な経営戦略を示す

1つ目の方法は経営層がDXを理解し、DXの実現に向けた具体的な経営戦略を示すことです。DXを進めていくには、経営層がDXに対する具体的な経営戦略やビジョンを示し、DXを進めていくことを社内全体に明らかにする必要があります。

経営層がDXを理解して具体的な経営戦略を示せば、社員もDXを進めていくためのプロジェクトや戦略を進めやすくなります。また、具体的な経営戦略がわかれば、DXを進めていくにあたって社内で改善すべき点や修正点などが見えて、より効率的にDXを進められるでしょう。したがって、社員個人ではなく経営層がDXを理解し行動することが大切です。

IT人材の確保・育成する

2つ目の方法は、IT人材の確保・育成です。DXを進めるには、社内でITシステムを理解している人材の育成を行い、率先してDX化や事業の変革を起こす必要があります。またDXを進めていくために、自社で扱っているアプリケーションやソフトウェアを使いこなして運用・管理できる人材も確保しなければいけません。

現在多くの企業では、ITシステムに関する業務をすべてベンダー企業に委託しているがゆえに、IT人材が不足しているケースも多くみられます。これらの企業では、DXを進めようと考えていても、人材不足や能力不足が大きな足かせになってしまい、DXを進められません。したがって、自社でDXに詳しいIT人材の確保・育成が重要課題となっているのです。

DXのための社内体制を全社規模で打ち立てる

3つ目の方法は、DXのための社内体制を全社規模で打ち立てることです。DXは社内のIT・情報部門・経営層のみが行っても、社内全体がDXについてしっかりと理解して行動しなければ実現しません。

DXを進めるには、これまでアナログで行っていた業務をデジタル化させたり、積極的にITシステムやツールを使用したりするなど、社内全体で取り組みを進める必要があります。また社内体制を全社規模で打ち立てることによって、社員一人ひとりがDXに向けて積極的に行動するので、DXに向けたプロジェクトが取り組みやすくなります。

したがってDXは、一部の人材や部門だけでなく、社内全体で進めていきましょう。

レガシーシステムへ対応する

4つ目の方法は、レガシーシステムへ対応することです。多くの企業では、すでに古く複雑化してしまったレガシーシステムをメインに業務を行っており、DXを進められていない状況です。レガシーシステムがあることによって、運用や管理コストが増大して企業経営を圧迫し、DXを進めたくても進められない悪循環になってしまいます。

新たなシステムの導入や開発が遅れると業務や維持費のコストがさらにかかってしまうため、レガシーシステムへの対応は喫緊の課題なのです。したがって早急にレガシーシステムの問題点や改善点などを見直して、廃棄や軽量化・代替などを行い、少しずつ新しいシステムやツールへの切り替えが求められます。

システム開発体制・手法を抜本的に見直す

5つ目の方法は、システム開発体制・手法を抜本的に見直すことです。

DXを進めていくためには、新しいシステムやツールの導入・IT化などの改善では不十分で、社内の開発体制や手法を1から見直し改善しなければなりません。なぜなら、IT業界は変化が非常に激しい業界であるため、新しい技術や開発手法などもすぐに古くなるからです。

DXの本来の目的である「デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、競争優位性を確立させる」ためには、システム開発体制・手法を抜本的に見直すのも方法の1つです。

多くの企業では、従来の開発体制・手法が取られていることから、トレンドの変化に対応しきれない場合がほとんどであるといえます。トレンドの変化を見極めつつ、自社に最適なシステムの開発体制・手法はどれか、折に触れて見直すことが大切になります。

DXを実現するための方法

DXを実現するための方法

DXにおける課題を解決して日本全体がDXを実現するためには、主に以下の5つの方法が大切です。

  • DXのための経営戦略を打ち出す
  • DXの必要性を共有する
  • 現状の課題を可視化する
  • 既存の業務フローを点検・改善する
  • DXを評価し、改善する

DXを実現するためには、さまざまな方法を試して少しずつ進めていきましょう。ここでは、上記5つのDXを実現するための方法について、それぞれ解説します。

DXのための経営戦略を打ち出す

1つ目の方法は、DXのための経営戦略を打ち出すことです。DXは、ただIT化によって業務効率を改善することや、ITツールを導入することだけではありません。

DXを実現させてどのような価値を生み出したいのか、DXでどのようなビジネスモデルを生み出したいのかを考え、それに沿った経営戦略を打ち出す必要があります。より具体的な戦略を立案することによって、現時点で不足している点や改善点などがはっきりと判断できるようになり、より効果的にDXを進められます。

経営戦略を打ち出すためには、経営層のDXへの理解や重要性を深めることが大切です。
したがって、部下や部門にDXを任せるのではなく経営者が積極的に進めましょう。

DXの必要性を共有する

2つ目の方法は、DXの必要性を社員同士で共有することです。DXという言葉や意味を、ある程度理解している方や認知している方は一定数存在していますが、DXの具体的な必要性や意味を理解している方はまだまだ少ないのが現状です。

DXの必要性や意味を理解している人が少ない点については、社内の経営層や社員でも同じことがいえる場合があります。だからこそDXを進めていくには、事前にDXの必要性を社員同士で共有しておくことが大切なのです。

DXの必要性が多くの社員に理解されることで、より積極的にDXに向けた取り組みが行われます。ただDX化の指示をするよりも大きな効果が期待できるでしょう。さらにDXのよるメリットや社員の業務の変化などももれなく共有しておく必要があります。

現状の課題を可視化する

3つ目の方法は、現状の課題を可視化することです。DXを進めるにあたって、自社が抱えているレガシーシステムやDXへの理解度の低さなどの課題を可視化することで、よりDXにおける戦略や行動が具体化します。

DXを進めるにあたり、具体的な問題点が定まっていないと何から行えばいいかわからず立ち止まってしまうことも大いにありえます。
また、しっかりと課題を洗い出して分析しなければ、現状の業務フローやビジネスモデルにおける改善点・課題が見えてきません。

より効果的にDXを進めるためには、以上のことを理解して、具体的な課題や問題点の可視化を進めていきましょう。

既存の業務フローを点検・改善する

4つ目の方法は、既存の業務フローを点検・改善することです。現在、自社で行っている業務フローに対して不満を持っている社員や取引先の存在を洗い出します。

場合によっては経営層や経営者自身が問題点や改善点を把握している場合もあるでしょう。
業務フローの改善を図るには、レガシーシステムから新しいシステムへ代替することによる業務フローの簡略化により、無駄な業務やコストを軽減させることは、DXを進めるために重要な要素です。このように既存の業務フローを点検・改善することで企業に余力が生まれ、さらにDXに取り組みやすくなる環境が整えられます。

DXを評価し、改善する

5つ目の方法はDXを評価し、改善することです。実際にDXを進めている企業でも、完璧にDXを進められているとは限りません。場合によっては、効果的にDXを進められていない可能性もあるため、自社で取り組んでいるDXを客観的に評価し、改善し続けることが大切です。

1度に大きく変化させたり、高い成果をあげたりすることは難しくても、少しずつ改善させることによって、徐々に高い成果をあげられるようになります。したがって、DXのための施策を行っている場合は、しっかりと評価を行ってください。改善点や問題点などの指摘があれば、徹底して改善しましょう。

以上のフローを何度も繰り返し行うことで、社内のDXが進んでいきます。

DXによって企業のビジネスモデルを刷新しよう

DXによって企業のビジネスモデルを刷新しよう

世界中でDXを進める動きは活発になってきており、日本国内でもDXを進めるための戦略やプロジェクトが盛んになっています。ただ現状の日本国内においては、まだDXに向けた取り組みが不十分な企業が多く、さまざまな課題や改善点があることから、完全に移行するにはまだ時間がかかるでしょう。

DXの遅れは、日本経済の損失に大きく関わってくるので、本記事を参考に、積極的にDXへ向けた取り組みを進めていきましょう。

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