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最終更新日: 2023.11.28 (公開: 2023.11.28)

SAP HANAとは?機能や特徴、導入すべき理由について解説

SAP HANAとは?機能や特徴、導入すべき理由について解説

ERPとは企業にある資源を有効活用するための考え方・手法のことです。本記事ではSAP社が提供するERPシステムとインメモリーデータベースであるSAP HANAについて解説します。

SAP HANAは、SAP社が提供するインメモリーデータベースのことです。
ERPとは、企業にある「ヒト・モノ・カネ」といった資源を有効活用するための考え方・手法のことを指します。本記事では、SAP HANAの主な機能や導入すべき理由について解説します。

SAP HANAとはSAPの商品の1つ

SAP HANAとはSAPの商品の1つ

SAP HANAは、ディスクへ保存する代わりにデータをメモリ内に保持する新時代のデータベース技術です。SAP HANAを導入するメリットは、巨大なボリュームのデータにすぐにアクセスして操作できることです。この即時性は、企業がデータを活用するうえで非常に重要なポイントとなります。

2010年の登場以来、SAP HANAは進化し続け、多くの企業に採用されています。単にデータベースとしての高い機能性だけではなく、データベースサーバーとしての基本的な保存と取得を超え、さまざまなデータ形式に対する高度な探索や分析が可能である点が高い評価を受けているのです。SAP HANAはアプリケーションサーバーとしての側面ももち合わせており、リアルタイムのデータやインメモリー技術、AI技術を活用してスマートな解析をおこなうアプリのサポートをしてくれます。

つまり、SAP HANAは1つのプラットフォームで多様なデータ操作を迅速におこなえることを目指し、ITの簡略化やビジネス変革を加速化させるサポートを実現できるものといえるでしょう。

SAP HANAの歴史

SAP HANAは、SAPの共同創業者であるハッソ・プラットナーらの手によって、2000年代から開発が進められ2011年に正式リリースされました。

HANAは「High-Performance ANalytic Appliance」の各単語の頭文字をとった造語で、データベースの中では分析に特化したデータベースという位置付けでした。その後も1年ごとにHANAをベースとしたシステムのリリースが続けられ、2015年にSAP第4世代目のERP製品となるS/4 HANAがリリースされます。

そして、2019年にバルセロナで開催された「SAP TechEd Barcelona 2019」で、クラウドサービスであるSAP HANA Cloudが発表され、3年後の2022年には利用ユーザー数が3万1000社を超えました。

SAP HANAがもつ特徴とは?

SAP HANAがもつ特徴とは?

SAP HANAがもつ特徴には、以下のようなものがあります。

  • インメモリーデータベースを採用している
  • データサイズを圧縮している
  • DWHエンジンによってビッグデータツールと連携できる

ここからは、3つの特徴について解説します。

インメモリーデータベースを採用している

1つ目は、インメモリーデータベースを採用していることです。

コンピュータに搭載されたメインメモリでデータを管理するデータベースをインメモリーデータベースといい、データの読み書きが高速になるメリットがあります。ハードディスクやSSDにデータを保存する従来のデータベースと比べて、インメモリーデータベースは大幅に高速なデータ処理が可能です。

ただし、メインメモリ上で管理するという性質上、電源障害やサーバーがダウンするといったトラブルが起きたとき、メモリの内容が失われるリスクがあります。しかしSAP HANAは、定期的なディスクへのデータ保存などの対策を通じて、データの永続性を保つ仕組みをもっているのです。

データサイズを圧縮している

2つ目は、データサイズを圧縮していることです。

SAP HANAは、データを横軸(レコード)ではなく縦軸(カラム)でまとめて処理をおこなう「カラム型データベースシステム」として設計されています。

カラム型データベースシステムは、従来型であるロウベースのデータベースと比較して高いデータ圧縮率をもつため、データの肥大化を効果的に抑えることが可能です。また、データの分析や集計において、カラム型データベースは効率的なパフォーマンスを発揮します。

DWHエンジンによってビッグデータツールと連携できる

3つ目は、DWH(データウェアハウス)エンジンによってビッグデータツールと連携できる点です。

SAP HANAには、データベースシステムだけでなくデータを分析するためのデータウェアハウスエンジンも備わっており、これによりデータの分析や集計が可能です。

さらに、SAP HANAはHadoopやRなど、ビッグデータ解析ツールとの連携もサポートしています。Smart Data Accessを通じて他のツールとも容易に連携ができることも、SAP HANAの大きな特徴でありメリットといえるでしょう。

SAP HANA(インメモリーデータベース)の3つの機能

SAP HANA(インメモリーデータベース)の3つの機能

インメモリーデータベースには、主に3つの特徴があります。

  • データ処理が高速
  • 構造化データだけではなく非構造化データも扱える
  • 圧縮できるデータサイズが大きい

ここからは、これらの特徴について解説します。

データ処理が高速

SAP HANA(インメモリーデータベース)の1つ目の特徴は、データ処理が高速な点です。

従来型のデータベースでは、ハードディスクやSSDなどの記憶媒体にデータが格納されるため、データ処理の際にハードウェアの読み込み・書き込みが必要となります。

一方でSAP HANAの場合、データはコンピュータのメインメモリに直接保存されるため、高速なアクセスが可能です。この特性により、SAP HANAのパフォーマンスは従来型のデータベースと比べて大幅に向上します。

構造化データだけではなく非構造化データも扱える

SAP HANA(インメモリーデータベース)の2つ目の特徴は、構造化データだけではなく非構造化データも扱える点です。

構造化データとは、CSVファイルやExcelファイルのように明確な列や行といった構造をもつデータを指します。それに対して非構造化データは、テキスト文書・画像・音声・動画など、特定の形式や構造をもたないデータのことを指します。

非構造化データは元の形で保持されているデータであり、文字解析や機械学習などさまざまな用途での利用が可能です。その構造の自由さとデータの応用力は、SAP HANAの大きな特徴であり、使用するメリットといえるでしょう。

圧縮できるデータサイズが大きい

SAP HANA(インメモリーデータベース)の3つ目の特徴は、圧縮できるデータサイズが大きいことです。

従来型データベースのほとんどは、ローストア指向という考え方に基づいたトランザクションの書き込みを重視した機能をもっています。

それに対してSAP HANAは、カラムストア指向という考え方に基づいた設計になっており、データの集計・分析やビックデータの解析に適しているデータベースになっています。
カラムストア指向のデータベースは冗長的なデータを効率的に圧縮して格納する技術が使われるため、ローストア指向型のデータベースと比べてより大きなサイズのデータを圧縮することが可能です。

SAP HANA(インメモリーデータベース)を導入すべき3つの理由

SAP HANA(インメモリーデータベース)を導入すべき3つの理由

SAP HANA(インメモリーデータベース)を導入するべき理由は、以下の3つです。

  • 社内システム全体を最適化できる
  • 経営機能を高速化できる
  • オンプレミスとクラウドの両方に対応している

ここからは、それぞれの理由を解説します。

社内システム全体を最適化できる

SAP HANA(インメモリーデータベース)を導入すべき1つ目の理由は、社内システムのパフォーマンス向上を実現できることです。

SAP HANAを導入することによって、さまざまな部署・部門で運用されているシステムのデータ管理や一元管理の効率化が期待できます。

また、高度なデータ圧縮技術やインメモリの性質上、伝統的なインデックスが不要になるため、データ管理コストの削減やパフォーマンスの向上も期待できるのです。
データメモリの容量を削減しながら効率的に管理できるため、導入するうえで大きなメリットとなるでしょう。

経営機能を高速化できる

SAP HANA(インメモリーデータベース)を導入すべき2つ目の理由は、経営機能や意思決定のデータ分析を高速化できることです。

従来型のシステムでは、データ分析に多くの時間がかかっていました。しかし、データ処理が高速なSAP HANAを使えば、経営判断に必要なデータを素早く処理・分析できます。そのため、意思決定のスピードが向上するだけでなく検討の時間も十分に確保できるようになります。

また自社で蓄積したさまざまなデータを分析する際にも、SAP HANAは大きな力となるでしょう。状況をリアルタイムで解析することで、サービス改善に向けた取り組みを素早くおこなえます。

オンプレミスとクラウドの両方に対応している

SAP HANA(インメモリーデータベース)を導入すべき3つ目の理由は、オンプレミスとクラウドの両方に対応していることです。

SAP HANAは、自社でインフラやソフトウェアなど情報システムを保有し管理するオンプレミスと、ハードウェアやソフトウェアのインストールが不要なクラウドの両方に対応しています。

オンプレミスを利用する際は、自社でハードウェアを用意しシステムの構築をおこなう必要があるものの、カスタマイズの柔軟性は高いです。一方でクラウドを利用する際は、システムの構築やメンテナンスなどをおこなう必要がないため手間やコストは抑えられますが、オンプレミスと比べてカスタマイズが制限されることがあります。

SAP S/4HANAとは?

SAP S/4HANAとは?

SAP S/4HANAとはSAP社が開発したERPシステムで、データベースにSAP HANAが使用されています。S/4とは、R/2、R/3、ECC6.0に続く4世代目のERPであるということを指しています。

SAP S/4HANAは、財務会計からプロジェクト管理に至るまでの、さまざまなコンポーネントが統合されたシステムです。SAP S/4HANAは初めからクラウド版とオンプレミス版の両方として提供されており、企業は状況に応じた選択ができます。

SAP HANAかSAP S/4HANAのどちらを導入すれば良い?

SAP HANAかSAP S/4HANAのどちらを導入すれば良い?

SAP S/4HANAは、高速なインメモリーデータベースであるSAP HANAをデータベースに採用したERPパッケージシステムです。

これまでSAP社のERPシステムであったSAP ECC6.0は、2027年に標準サポートが終了する予定です。その後もSAPのシステムを使用する場合は、SAP S/4HANAの導入を検討してみてもいいでしょう。

高速なデータ処理機能をもつデータベースが必要である場合には、SAP HANAでも十分です。SAP HANAは、インメモリーデータベースとして今後も発展する可能性があります。

SAP HANAやSAP S/4HANAを導入し、業務効率化を推進しよう

SAP HANAやSAP S/4HANAを導入し、業務効率化を推進しよう

SAP HANAは、ドイツの大手ベンダーであるSAP社が提供するインメモリーデータベースです。主要なデータをメモリ上に保存して処理する性質から、非常に高速な処理を実現するデータベースといえます。しかし、データの永続性やバックアップのために、定期的にSSDやハードディスクへも保存されます。

また、SAP S/4HANAはSAP HANAをデータベースに採用しているERPパッケージシステムで、企業内のあらゆるリソースを有効活用し、社内システムの改善が可能です。

SAP HANAやSAP S/4HANAを導入することで、経営機能の高速化・最適化を実現できるでしょう。本記事を参考に、SAP HANAの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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