クラウドとはどういったものかを知り、具体的なサービスを通してメリット・デメリットをIT初心者にもわかりやすく解説しています。さまざまなクラウドサービスを知って、業務の効率化につなげてください。
クラウドは、インターネットを経由して、サーバーからユーザーにサービスを提供する仕組みです。クラウドの登場で、インターネットを活用したサービス提供の仕組みは大きく変化しました。今では当たり前に使われているクラウドですが、意味がよくわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事ではクラウドとは何か、クラウドのメリットなどをわかりやすく解説します。
クラウドとはクラウドコンピューティング(cloud computing)の略で、サーバー・ストレージ・Webアプリケーションなどを、インターネットを通して提供する仕組みです。利用者は、サービスをパソコンやスマートフォンで利用します。
クラウドが主流になる以前は、ソフトウェアを購入しパソコンへインストールしていました。しかし、クラウドの登場で、ソフトウェアを購入せず、オンラインでデータのやり取りなどができるようになったのです。
クラウドサービスは提供者側が管理しており、利用したいユーザーはソフトウェアやデータを、インターネットを介して利用します。そのため、インターネットに接続できるデバイスは、基本的にクラウド型サービスを利用できます。
クラウドは、日本語で「雲」という意味です。雲という名称になった理由には、以下のようなさまざまな説があります。
ほかにも、ユーザーが意識せずに使用できる点が、「雲に遮られて見えない場所からデータをやり取りする」というイメージにつながったという説もあるようです。
クラウドが生まれたのは、Webブラウザが誕生した後です。1990年代の後半にWindows PCが発売され、個人のパソコン所有が主流になりました。しかし、パソコンの所有者が増える中で、アプリケーションやデータの端末への配布が困難になったのです。
Webブラウザが登場した後は、サーバーに格納したデータを、ネットワークを使用してアクセスする形が主流になりました。
1990年代に入り仮想化技術が発展し、一台のサーバーを複数の仮想サーバーに分割して利用できるようになったことで、サーバーの効率的な運用や、柔軟な拡張が可能になりました。ここから年々、SaaSやPaaSといった、クラウドのビジネスにおける活用が進んでいったのです。
クラウドは、ラムナト・チェラッパ氏が1997年に初めて提唱した概念です。当時はあまり普及しませんでしたが、世界でインターネットが普及するにつれて、クラウドは広がっていったという背景があります。
クラウドの種類には、以下のようなものがあります。
プログラミング案件を扱ったことがある方だと聞いたことがある言葉かもしれません。それぞれの形態について理解することは、サービス開発や設計で重要です。ここでは、具体的にどのようなクラウドサービスなのか紹介します。
SaaS(サース)は、日本語で「ソフトウェアのサービス」という意味です。ソフトウェアをインストールせずに、インターネット上でブラウザなどから利用できるサービスを指します。
たとえば、WordやExcelといったサイト上で利用できるMicrosoft 365や、Google ドライブなどオンラインストレージサービスなどが代表的なSaaSです。ユーザーはダウンロードやインストールをする手間を省けるため、広く普及しています。
PaaS(パース)は、日本語で「プラットフォームとしてのサービス」という意味です。アプリケーションやサービスを動かすために必要なOSや機器を利用するサービスで、プロバイダーやサーバー、データベースなどの最適化が必要であるため、PaaSの導入には深く広いITの専門知識が求められます。
たとえばAWS(Amazon Web Services)やGoogle Cloud Platformなどは代表的なPaaSです。アプリケーションをPaaSで利用してインターネットに公開します。サーバー・OSの用意やネットワークの設定が必要ないため、開発コストを削減できます。
PaaSは一般ユーザーではなく、サービス提供者のシステム開発向けサービスです。ITエンジニアはアプリケーションやサービスを理解するために、PaaSの学習をおすすめします。
IaaS(アイアース・イアース)は、日本語で「インフラとしてのサービス」という意味です。主に、サーバー・ストレージ・ハードウェアを利用できるサービスを指します。
たとえば、GCE(Google Compute Engine)やAmazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)が代表的なIaaSです。利用した分だけ料金を支払うシステムのため、アプリケーション作成に必要な分の環境を用意できる点が魅力です。
しかし、IaaSを利用するためには、インフラやサーバーの知識・スキルが必要で、深く学習しなければ利用できません。事前にある程度の知識を持って利用しなければ、想定外の料金が発生する場合もあるため注意してください。
ここでは、実際にクラウドが生活に使われている場面を確認します。
生活で活用される主なクラウドの種類は、以下の通りです。
それぞれ詳しく見ていきます。
ユーザーがクラウドにデータをアップロードしてほかの人に共有したり、複数人でストレージの管理をしたりできるクラウドサービスがあります。代表的なサービスが、Google ドライブやOneDriveです。ITの深い知識がなくても、簡単にデータ共有ができます。
スマ-トフォンなどで撮影した写真や動画を、クラウドにアップロードし、管理する方法も一般的です。しかし、インターネットにつながっていないと、クラウドのデータを閲覧できません。
従業員の勤怠管理システムも、クラウド型サービスとして活用されています。勤怠管理の情報をクラウドで共有できるため、効率よく給与計算や給与明細の作成が可能です。
たとえば、freee人事労務では、従業員ごとにアカウントの用意できるため、それぞれが働いた情報を登録でき、クラウドで管理できます。経営者の方が利用される場合は、年末調整や給与計算の機能を利用することで、業務負荷を軽減できるでしょう。
また、企業の規模に応じて対応したサービス内容を提供しています。たとえば、従業員が10~20名ほどの企業の場合は、企業成長に伴う労務管理の人的ミスの軽減が可能です。さらに従業員がいる企業の場合は、過去の実績をもとに労務リスクを予測し、未然に防げる仕様となっています。
プロジェクトメンバーの進捗状況をリアルタイムで共有でき、修正や確認が可能なサービスもあります。そのため、プロジェクトを効率的に進めたいときには、クラウド型の管理ツールがあれば、メンバー間で進捗を共有でき、スムーズに作業を進めることが可能です。また、プロジェクトの進捗を効率よく共有したい際にもおすすめです。
たとえば、クラウドサービスの一つであるMindMeisterはプロジェクトの情報を可視化して表示でき、複数人で共同編集も効率よくおこなえるでしょう。
ここからはクラウドをより上手に活用するために、クラウドのメリットを紹介します。
クラウドの主なメリットは、以下の通りです。
それぞれ具体的に確認します。
クラウドを使うと、ソフトウェアの購入費用やサーバーの導入費用を削減できます。なぜなら、クラウドサービスはクラウドの提供会社が運用しているので、サーバーの維持費やメンテナンス費は提供会社が負担するからです。
また、ソフトウェアのバージョンアップデートも必要ないため、バージョンのズレによるエラーが発生しづらくなります。
クラウドサービスの中には、ユーザーが必要な機能だけを利用できるプランが用意されているものもあります。基本機能のみで十分な方は無料や安価でツールが使用でき、オプションを活用することでカスタマイズもできるため、目的に合わせて利用できるでしょう。
インターネットに接続したデバイスがあれば、どこでもクラウドサービスを利用できます。そのため、メール確認や書類作成などで出社する必要がなく、外出先や自宅での対応も可能です。インターネット環境があればどこでも利用できるので、残業時間の削減やリモートワークの推進ができます。
インターネット環境がなくても使いたい方はオフラインで利用できるサービスもあります。
クラウドの提供会社が強固なセキュリティ対策をしているため、自社で独自にセキュリティ対策をする必要がありません。そのため、自社でセキュリティのアップデートやそれにかかるコストが不要です。
しかし、リンクを共有するだけでデータが共有できるクラウドサービスは、リンクの管理やアクセス権限の付与には注意が必要です。クラウドの提供会社のセキュリティ対策が万全でも、ユーザーのミスでデータの流出が起こる可能性があります。
クラウドは、必要に応じて保存容量の増減ができます。個人でローカル環境の容量を調整するには、コストと手間がかかります。また、社員それぞれの状況に合わせてローカルストレージの容量調整をすることは現実的ではありません。
そこで、クラウドで必要なデータを管理すれば、必要なストレージの全体容量を把握・調整できます。また、クラウド上で共有するとローカルにデータを保存する必要がないため、ローカルストレージの容量節約もできます。
クラウドのメリットを解説しましたが、以下のようなデメリットもあります。
ここでは、クラウドのデメリットを紹介します。
クラウドの提供会社は、利用者の代わりにクラウドサービスのメンテナンスやアップデートをおこない、費用を対価としてもらいます。そのため、利用者が減少すると適切な運営ができなくなり、クラウドサービスが提供者の都合で終了する可能性があります。
また、長い間使用しないとアカウントが削除されることもあるため、サービスを利用できなくなるリスクもあるでしょう。いつサービスの提供が終了してもいいように、バックアップや大手クラウド提供会社のシステム利用をおすすめします。
クラウドサービスのセキュリティは、基本的に提供会社がおこないます。しかし、サービスによっては外部業者に委託する場合もあり、個人情報や企業情報が流出するリスクがあります。クラウドサービスを利用する際は、セキュリティ対策がどのようにおこなわれているか確認しましょう。
一般的にクラウドサービスのセキュリティは高いといわれています。しかし、データが流出する可能性はゼロではありません。そのため、重要な情報をクラウドにアップロードしないなど、対策を講じてリスクを軽減しましょう。
信頼できるクラウド提供会社を選定し、セキュリティの不安を減らすことも重要です。
クラウドサービスは自社で構築するシステムではないため、自由なカスタマイズができません。クラウドの提供会社が設計した機能を利用するため、どのサービスが使いやすいかしっかりと検討することが大切です。
しかし、最近のクラウドサービスは、ユーザーがカスタマイズできるものも増えています。カスタマイズ性の高いサービスを使いたい場合は、自由度の高いサービスを利用しましょう。
クラウドサービスだけでも自社に必要な機能を確保できることもあるため、さまざまなサービスを比較しておきましょう。
ここでは、以下のクラウドサービスを紹介します。
どちらのクラウドサービスもよく知られていますが、実際どのようなサービスかを具体的に紹介します。
ファイルサーバー型のクラウドは、企業で使用するファイルをクラウドのデータサーバーに保存できるサービスです。クラウドストレージとも呼ばれ、Google ドライブやDropboxなどが代表的なサービスとなります。
クラウドストレージにデータを保存していると、自分のスマートフォンやパソコンが壊れてもデータを失う心配がありません。また、ほかの人にデータを共有しやすい点もポイントです。
ローカルストレージ容量の節約にも効果的なので、データ容量の管理もしやすくなります。
Slackは、従業員や顧客とのやり取りに使うチャットツールです。とくにテレワークの導入企業で活用され、Web会議とチャットを組み合わせて業務をおこなえます。会議に欠席しても内容の見返しが可能なため、情報の共有がしやすいのがメリットです。
Slackは人物やファイル名の検索もできるため、過去のメッセージを簡単に探せます。
クラウドの解説や具体的な使い方を知ると、より効率的にデータの共有や仕事を進められます。目的に応じたツールを選択するためにも、幅広いサービスを知ることが大切です。
業務の効率を高められるため、本記事を参考に自社にあったクラウドサービスを探して活用してください。
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