SAP ERPとは、ドイツにあるSAP社が販売しているERPシステムのことです。
そんなSAP ERPの特徴や導入のメリット・デメリット、サポート終了について解説します。
SAP ERPとは、ドイツのSAP社が販売しているERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムのことで、世界中の企業で利用されているシステムの1つです。ERPとは、企業の人的資源・物的資源・資金などの資源を有効活用するための手法であり、その実現にはITの力が重要な役割を果たしています。
本記事では、SAP ERPの特徴や導入するメリット・デメリット、サポート終了について解説します。
目次
ERPとは、「Enterprise Resource Planning」という言葉の頭文字を取った略称で、日本語では「企業資源計画」という意味になります。ERPは企業活動における人材・資金・モノといった資源を有効活用して経営基盤の強化を図ることが目的です。
また最近では、ERPが「統合基幹業務システム」を意味する用語としても使われるようになってきており、SAP ERPとは、ドイツにあるSAP社が販売しているERPシステムのことです。SAP社は、世界的なソフトウェア開発会社の1つで、現在では世界各国に事業を展開しておりERPシステムも市場シェア1位の製品となっています。
SAP ERPはパッケージ化された製品であるため、企業に合わせてオーダーメイドでシステムを開発するよりも簡単かつ短期間で導入できます。ただし、導入するには専門的な知識をもったコンサルタントが必要で、時間と費用がかかる点は注意しなくてはいけません。それでも、その包括性とカスタマイズ性の高さから、多種多様な企業や業界の業務に適したシステムとして世界中の企業で利用されています。
SAP ERPは、さまざまな業務領域を「モジュール」という単位で分けて管理しています。
そのため、企業のさまざまな業務への対応が可能なのです。SAP ERPに搭載されているモジュールは、以下の11種類となります。
SAP ERPにはさまざまな特徴があり、導入に向いている企業もさまざまです。本社のあるドイツだけでなく、世界各国の企業で活用されています。SAP ERPの特徴は、主に3つです。
それぞれ詳しく解説します。
1つ目の特徴は、世界各国の企業で導入されている点です。
SAP ERPはパッケージ製品ではあるものの、導入には企業のビジネスプロセスや業務フロー・データ構造を理解し、それらに適した設定やカスタマイズをおこなう必要があります。そのため、オーダーメイドのシステムをゼロから作るよりは手間が省けるものの、専門的な知識やスキルは必要です。
さらに、SAP ERPはその豊富な機能とカスタマイズの自由度の高さから世界各国の企業で導入されています。SAP社には長い歴史と実績があるため、世界中の企業で導入実績があり大企業でも導入されているのです。
実際に、SAP社のERPシステムは、さまざまな企業や業界に適しており、多様な業務のサポートを効果的におこなってくれます。そのため、世界的に見ても評価の高いシステムの1つといえます。
2つ目の特徴は、標準機能が豊富な点です。
世界中にあるさまざまな企業や業界で利用されていることから、標準で豊富な機能が搭載されており多様なニーズに対応しています。また多言語や多通貨のサポートにより、グローバル展開している企業が抱えている各国の法制度や商習慣の課題にも対応しています。
さらに、ERPの業務機能領域を補い強化するための購買ソリューションや、経費精算ソリューションなどのアプリケーションも提供している点は魅力です。そのため、SAP ERPはさまざまな企業の業務を十分にサポートできます。
3つ目の特徴は、多様なインフラ展開をサポートできる点です。
世界中でデジタル化やクラウドが進歩していることもあり、オンプレミスやクラウド(パブリッククラウドやプライベートクラウドなど)といった多様なインフラ展開をおこなっている企業が多くなっています。SAP ERPはこれらの多様なインフラ環境に柔軟に対応可能で、企業が選択したインフラを最大限に活用できるのです。
また、展開しているインフラを自社が運用するかパートナーが運用するかも選択できるため、自社に適した運用がおこなえます。そのため、今後もSAP ERPを導入する企業は増えることが予想されるでしょう。
SAP ERPには、さまざまな導入するメリットがあり、世界中の企業もそのメリットを得るために導入しています。SAP ERPを導入する主なメリットは3つです。
それぞれのメリットについて解説します。
1つ目のメリットは、知名度と信頼性が高く安定したサービスが受けられる点です。
SAP社はERP市場でシェア1位を誇っており、世界中の企業で導入されている実績があります。また多種多様な企業や業界の業務に対応するためにサービスを展開しているため、ほとんどの企業がERP導入において安定したサービスを受けることが可能です。
さらに世界中の企業に対応しているサービスであることから、多言語や多通貨・各国の法制度などにも対応しており、信頼性も高いです。このような理由から、ERPシステムの導入を検討している企業にとって、SAPのERPシステムは信頼性と効果性の高い選択肢となり得ます。
2つ目のメリットは、統合性が高い点です。
SAP ERPは、会計や販売・生産などの業務が1つのシステムに統合されているため、人的資源・物的資源・資金などをすべて一元管理できます。また、1つのシステムですべての業務を管理しているため、主要な業務プロセス(財務、人事、供給鎖管理、顧客関係管理など)を統合して管理することが可能です。
そのため、用途ごとに分けて管理されている従来のシステムと比較しても、業務効率や統合性が高く使いやすいシステムといえます。
3つ目のメリットは、リアルタイム性が高い点です。
SAP ERPは、1つのシステムで会社の業務をすべて統合的に管理できることから、別々のシステム間でデータを連携する手間が減ります。さらに、1つのシステムで管理されているため、購入してから買掛金計上するなどのプロセスも自動化でき、よりスピーディな処理が可能です。
そのため、さまざまな業務がリアルタイムでおこなわれ、迅速な経営判断が求められている企業にとって大きなメリットになるでしょう。このリアルタイム性の高さは、SAP ERPが市場シェア1位を獲得できた理由の1つでもあります。
SAP ERPを導入することによってさまざまなメリットが得られますが、一方でデメリットもあります。SAP ERPを導入するデメリットは、主に2つです。
SAP ERPには、さまざまなメリットがあり導入を検討している企業が多いですが、デメリットについてもしっかりと理解しておきましょう。ここでは、SAP ERPを導入するデメリットをそれぞれ解説します。
1つ目のデメリットは、導入費用が高額になる点です。
SAP ERPを導入するためには、ライセンス料やシステム構築費用・サーバー費用など、さまざまな初期費用が発生するため導入費用が高額になることがあります。場合によっては機能を増やすための開発費用も発生するため、すべての企業が気軽に導入できるシステムではありません。さらに、システムを利用するユーザー数が多くなるほどライセンス料やサーバー費用は高額になるため、大企業はとくに負担が大きいです。
ただし費用を削減して低コストで導入してしまうと、システムエラーや業務効率の低下のリスクがあります。そのためSAP ERPの導入にかかる費用を計算した上で、導入の検討をおすすめします。
2つ目のデメリットは、システムに理解のある人材が必要な点です。
SAP ERPは、さまざまな課題を解決させるために効果的なツールですが、導入しただけでは十分な機能を発揮できません。SAP ERPはあくまでもツールなので、そのシステムを理解している人材が効果的に運用しなければ、十分に機能を使えずに費用対効果が下がってしまうのです。
そのためSAP ERPを導入する場合には、事前にSAPについて深く理解している人材を選出してプロジェクトリーダーにしたり、外部の人材に依頼したりすることをおすすめします。
SAP ERPは、これまで世界中の多くの企業で利用されてきましたが、2027年にサポート終了することが決定しています。サポートが終了する理由は、システムの肥大化やそれに伴う処理速度の低下を引き起こしてしまっているためです。そのため、SAP社は、後継版の「S/4 HANA」をリリースし、サービスが終了する前に後続版への移行を進めています。
サポートが終了すると、セキュリティの更新も終了する可能性が高いため、システムはセキュリティリスクにさらされる可能性があります。そのため、現在SAP ERPを利用している企業は、後続版の「S/4 HANA」に移行するか、SAP社以外のERP製品に移行することを視野に入れておくことが重要です。 移行には大きなリソースと時間が必要であり、早期に移行を始めることで影響範囲とコストを減らすことが可能になるとされています。 そのため、早期に移行計画を立てることをおすすめします。
SAP ERPの導入を検討している企業は多いですが、2027年にサポートが終了してしまいます。また、高額な初期費用がかかるといった理由からSAP ERP以外のERP製品の導入を検討している企業もいます。SAP ERP以外のERP製品の中でも定番なERP製品は、主に以下3つです。
ここでは、ERP製品をそれぞれ紹介します。
OracleのERPは、クラウド環境を利用して使用するERPを2種類提供しています。
1つ目のERP「Oracle NetSuite」は、ERP・CRM(顧客関係管理)とES(E-commerce・イーコマース)などの機能が統合されており、多言語や多通貨に対応していることが特徴です。また、世界中で利用されている実績もあります。
2つ目のERP「Oracle Cloud ERP」は、安定したクラウド環境が整っており、セキュリティ面も強力なことが特徴です。そして柔軟なカスタマイズが可能なので、複雑な業務をおこなっている企業におすすめです。
オービックのERPは、オービック社が提供している「OBIC7」というERPです。
OBIC7は、世界中で約25,000社以上が導入しており、自社開発から直接販売をおこなっているため、手厚いサポート体制があることが特徴です。また19年連続でERP累計導入者数のシェア1位を誇っており、信頼性の高いERPでもあります。
会計・財務・営業・給与・人事などのさまざまな業務を柔軟に組み合わせて活用しているため、カスタマイズ性も高く導入しやすいです。シンプルで使いやすさなどを重視する企業におすすめのERP製品です。
GRANDITのERPは、株式会社システムインテグレータが提供している国産のERPです。
さまざまな業種に対応できるので、製造業や商社、サービス業などの企業に導入されており、約1,200社以上の導入実績があります。また、初めてERPを導入する企業に向けてデモをおこなっているため、導入前にシミュレーションをし、自社に適しているかの判断が可能です。
高額なERPシステムを、お試しで利用してから導入できる特徴は、多くの企業にとって大きなメリットといえます。そのため、ERP製品を初めて導入する企業におすすめのERP製品です。
SAP ERPは、さまざまな企業や業種に適したシステムを提供しているため、これまでに世界中の多くの企業で導入された実績があります。ただしSAPは、2027年に現行のSAP ERPのサポートを終了する予定です。そのため、サポートが終了する前に後続版の「S/4 HANA」へ移行するか、新しいERPシステムの導入を検討することが必要となります。
これからERPの導入や移行を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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