CakePHPは、PHPのフレームワークのひとつです。CakePHPを使用することで、効率的にWebアプリケーションを開発できます。本記事では、CakePHPの基本的な機能や使い方、注意点などを解説します。
CakePHPは、数ある「PHP」のフレームワークのひとつです。フレームワークとはWebアプリケーションやWebページを作成する際に役立つ機能が数多く搭載されたパッケージを指します。
CakePHPを使用することで、より効率的なWebアプリケーションの作成が可能です。
本記事では、CakePHPの基本的な機能や使い方、注意点などを詳しく解説します。
インストールする際の手順も紹介しているため、CakePHPの使用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
CakePHPは、「PHP」をベースとしたフレームワークです。オープンソースであるため、無料での利用、改変、頒布が可能といった特徴があります。
フレームワークとは「システムを開発する際に必要ないくつかの機能がまとまったもの」のことで、CakePHPはWebアプリケーションやWebサイト開発に向いている機能が数多く搭載されています。
CakePHPのベースである「PHP」が使用者の多いプログラミング言語であり、日本語の学習資料が豊富であることから、プログラミング初心者でも学習が進めやすい言語です。
導入手順も複雑ではないため、プログラミング初心者におすすめのフレームワークといえます。
「PHP」は、WebページやWebアプリケーションの開発で使用されることが多いプログラミング言語です。
「PHP」はプログラミング言語の中でも「スクリプト言語」に分類されます。スクリプト言語とは、動的なWebページやWebアプリケーションの開発に向いているプログラミング言語です。
他のスクリプト言語にはHTMLやJavaScriptなどがあります。スクリプト言語全体の特徴として習得が比較的簡単なため、「PHP」はプログラミング初心者にもおすすめの言語といえるでしょう。
「PHP」はHTMLに埋め込んだコードをサーバーサイドで実行し、その結果をクライアントサイドに返せる機能があるため、WebアプリケーションやWebサイトの開発においてHTMLと組み合わせて使用されます。
フレームワークはシステムを開発する際に必要な機能の詰め合わせを指し、開発の基礎となる骨組みや枠組みを備えたものです。
画面遷移、データベースアクセスの部品化、ログ出力など、さまざまなWebページやWebアプリケーションで使用する機能(部品)が揃っています。
フレークワークを利用すれば、ゼロからコーディングして機能を実装する必要がなくなるため、効率のいいアプリケーションの開発が可能です。
CakePHPには、以下の5つの機能が備わっています。
それぞれ詳しく解説します。
CakePHPの主な特徴として、「MVCアーキテクチャ」で構築されたフレームワークである点があげられます。
MVCアーキテクチャとは、プログラムを以下の3つの役割に分担して開発していく手法です。
MVCアーキテクチャはそれぞれの機能が独立しているため、エンジニアごとに担当を決めて作業ができ、機能の拡張や仕様変更にも対応しやすいといったメリットがあります。
CakePHPには、bake機能が備わっています。bake機能とは、MVCアーキテクチャに関わるファイルを作成でき、対話形式の質問に答えるだけでプログラムが自動生成される機能です。
bake機能により、MVCの基礎部分はソースコードを書かずに作成することも可能となっています。
CakePHPには、bake機能のほかにも効率的に開発するための機能が多数搭載されているため、それらの機能を活用することで開発の手間が大きく軽減されるのです。
scaffolding機能とはデータモデルとなる型をもとにして、CRUD(Create, Read, Update, Delete)画面とそのコードを自動で生成する機能です。
scaffoldingには「足場」という意味があり、コードを1から記述する必要がないため、それほど手間をかけずにアプリケーションの骨組みをつくることが可能となっています。
scaffolding機能を活用することでアプリケーション開発の手間を大きく省略できるため、効率的な開発が実現できます。
バリデーション機能とは、入力されたデータやコードの記述が指定された文法や仕様に沿っているかをチェックするための機能です。
バリデーション機能を活用することで、たとえば「日付の形式で入力しなければならない項目にひらがななどの文字列が入力されている」といった無効なデータがあった場合にエラー表示されます。
また、事前に用意されたルールでは判定できないときに、独自のルールをつくることも可能です。
CakePHPは動的なWebサイトやWebアプリケーションの開発に適しており、実際に以下のようなサービスがCakePHPでつくられています。
それぞれ詳しく解説します。
CakePHPは、オリジナルのブログサイトの作成をサポートしてくれます。
CakePHPのサイトにはブログサービスを構築するためのチュートリアルが公開されています。
CakePHPでどのようにブログサイトを構築するのかが詳しく解説されているため、初心者の方でも比較的容易に、ブログサイトの構築にチャレンジすることが可能です。
また世界でさまざまなWebサイトに採用されているWordPressというCMSは「PHP」で構築されています。
ブログサイトの構築を通して幅広い「PHP」の知識が得られるでしょう。
CakePHPは、グループウェアの作成にも適しています。グループウェアとは、社内で情報共有やコミュニケーションを行うためのツールです。
業務管理におけるさまざまな機能が搭載されており、その中でもドキュメントの共有機能や会議室の予約機能を実装する際に「PHP」が使われています。
グループウェアには、アクセス制御や強固なセキュリティが求められます。CakePHPの認証や権限管理といったセキュリティ機能を利用することで、ユーザーの認証やロールベースのアクセス制御の実装が、より簡単になるのです。
CakePHPのセキュリティコンポーネントを使用することで、グループウェアにおけるデータや機能への不正アクセスを防げます。
グループウェアのフレームワークとしてCakePHPが使われるケースは多いため、CakePHPの使い方を一通り把握しておくとよいでしょう。
ネットショップやフリーマーケットサイトなどに代表されるECサイトも、CakePHPなら比較的簡単に作成できます。
CakePHPはMVCアーキテクチャを採用しており、ビューコンポーネントを使用して動的なコンテンツの表示を行えます。ビューコンポーネントを使ってECサイトの各ページを作成することで、ユーザーの特定の動作に応じた反応を返すことが可能です。
さらにCakePHPのフォームコンポーネントを利用することで、簡単に会員登録フォームや注文フォームを作成できます。フォームコンポーネントはフォームの生成やバリデーション、データの保存などをサポートしていることから、ECサイトで必要な入力フォームの作成が容易になります。
それぞれ詳しく解説します。
「PHP」およびCakePHPには、プログラムの処理速度が遅いというデメリットがあります。
このデメリットはプログラムを実行する際、「PHP」が一行ずつ機械語をコードに翻訳していくために起こります。
処理速度が遅いため、「PHP」およびCakePHPは小規模なWebサイトやWebアプリケーションの開発は得意としている一方、処理速度が求められる大規模なデータを扱うサイトの開発には適していません。
CakePHPはオープンソースで提供されていますが、規約が厳しく柔軟なカスタマイズは困難です。
カスタマイズ性の低さは、プログラミングに成熟している方ほど大きなデメリットに感じるでしょう。
一方で、カスタマイズ性の低さはコードの一貫性と可読性のよさにつながります。
そのため、人員の入れ替わりが激しい大規模な開発環境では、効率的な開発が可能となるのです。
CakePHPのインストールは、以下の手順で進めてください。
手順を順番に解説していきます。
引用:XAMPP Installers and Downloads for Apache Friends
XAMPPの公式ページからそれぞれのOSにあったインストーラをダウンロードして、インストールを行います。
続いてXAMPPでPHPがインストールされたフォルダに、環境変数のPathを設定します。
「環境変数を編集」から「編集」、「新規」と選択し、PHPがインストールされているフォルダ(下図)をコピペして設定してください。
CakePHPをインストールする際は、始めに「Composer」をインストールします。
Composerとは、「PHP」関連のソフトウェアを管理するためのツールのことです。
Composerのサイトからインストーラをダウンロードできます。
引用:Composer
Composerのトップ画面で「Download」をクリック、次の画面(下図)で、「Composer-Setup.exe」(下図赤枠)をクリックするとダウンロードが開始されます。
引用:Composer
intl拡張モジュールとは、すなわち「国際化用拡張モジュール」のことを指します。「PHP」の国際化用拡張モジュールは文字列や日付、通貨などの形式を、使用者のロケーション(地域や言語)に合わせて扱うためのツール群です。
intl拡張モジュールを利用することで、国や地域によって異なる表記法や習慣を適宜扱うことが可能です。
たとえば、日付の表記は国によって異なります。アメリカでは “month-day-year” の形式を、一方ヨーロッパの多くでは “day-month-year” の形式を用います。さらに日本では “year-month-day” の形式が一般的です。これらの表記の違いを国際化用拡張モジュールを用いることで、適切に表示・処理できるのです。
intl拡張モジュールを有効化するには「php.ini」ファイルを編集します。
xampp\phpフォルダ内にあるphp.iniファイルを「メモ帳」といったエディタで開き、以下の記述を検索してください。
;extension=intl
行頭にセミコロンがある記述は、当該記述が無効であることを示すものです。そのため今回は、行頭のセミコロンを削除したうえで上書き保存してください。
続いて設定を有効にするためにXAMPPを起動し、Apacheの「Start」と「Stop」をクリックして再起動します。
Composerのインストールが完了したら、コマンドプロンプトから次のコマンドを実行することでCakePHPのインストールが開始されます。
composer self-update && composer create-project --prefer-dist cakephp/app 任意のプロジェクト名
次に、パーミッションの設定を行いましょう。CakePHPではいくつかの操作で「tmp ディレクトリ」を使用するため、tmp ディレクトリやその他のサブディレクトリに書き込み権限を設定する必要があります。
初期状態では起動速度を重視してすべてのユーザーが書き込みできるようになっていますが、このままではセキュリティ面で不安があります。
そのため、パーミッションを設定してサーバーを実行したユーザーのみが書き込めるように変更してください。
最後に、実際にCakePHPを実行し、動作を確認してみましょう。
以下のコマンドを実行することで開発用のサーバーを起動できます。
bin/cake server
このコマンドを実行することで、「http://localhost:8765/」から初期画面にアクセスできるようになります。
問題なく初期画面(上図)が表示されればインストールは完了です。
ここからはCakePHPの基本的な使い方のうち「コントローラー」と「ビュー」の使い方を詳しく解説します。
コントローラーは、モデルとビューの処理を制御するための機能です。
コントローラーを使用することで、モデルの処理を行ったり、ビューにデータを出力したりする処理が行えます。
コントローラーを使う際は以下のようなコードを入力しましょう。
<?php namespace App\Controller; use App\Controller\AppController; class SampleController extends AppController { public function index() { $this->set(‘title’, ‘CakePHP テストページ’); $this->set(‘test’, ‘テスト’); } }
次にビューの使い方を見ていきましょう。ビューは、ユーザーが操作する画面をつくるための機能です。
「$this->set」で指定した値を画面に表示させるには以下のようなコードを入力します。
<div> <h1><?= $title ?></h1> <p><?= $test ?></p> </div>
ビューは画面を表示させるだけでなく、if文を用いて画面の表示・非表示を制御することも可能です。
$this-> set(‘authority’, 1); //1には任意の役職(管理者など)を指定
その際はまずコントローラーの「public function index()」内に以下のコードを追加しましょう。
次に、ビューのプログラムを以下のように書き換えます。
<div> <h1><?= $title ?></h1> <p><?= $test ?></p> </div> <?php if($authority === 1): ?> <pre>任意の役職のみに表示される情報</pre> <?php endif; ?> <pre>全員に表示される情報</pre>
このプログラムを実行すると、任意の役職には「任意の役職のみに表示される情報」「全員に表示される情報」がどちらも表示され、任意の役職以外には「全員に表示される情報」のみが表示されます。
CakePHPは制約が多めのフレームワークであるため、海外では同じPHPのフレームワークである「Laravel」の方が人気が高い傾向があります。
Laravelと比較するとCakePHPはカスタマイズ性が低いため、機能追加などの対応が難しい点が、人気の面で差がついた要因です。
しかしCakePHPにしかないメリットもあり、かつ今後も一定数継続して使われると予測されるため、自身の用途に合わせて学習するフレームワークを選ぶことがおすすめです。
Laravelは後発のフレームワークのため、古めのWebサービスにはCakePHPが使われていることがあります。
そのため、CakePHPでつくられたサービスが存在している限りはCakePHPにも一定の需要があることから、一定の将来性があると考えられるのです。
ここからはCakePHPを学習する初心者向けに、具体的な以下の3つの学習方法を紹介します。
それぞれメリットとデメリットがあるため、自分に合った学習方法を選びましょう。
それぞれ詳しく解説します。
引用:CakePHP
CakePHPは世界中で使われているフレームワークのため、公式サイトの情報も充実しています。
公式サイトでは多くのドキュメントが公開されているため、ドキュメントを活用することでCakePHPの学習が可能です。
ドキュメント数が多いため、プログラミング初心者が知りたい情報を探すには時間がかかりますが、その分、充実した情報を得ることが可能です。
「PHP」の基本的な知識もまとめられているため、CakePHPだけでなく「PHP」についての理解も深められます。
CakePHPは、ドキュメントだけでなくチュートリアルも公開されています。
さまざまなチュートリアルがあるため、実際に手を動かしてプログラミングしながら実践的な学習が可能です。
チュートリアルによっては丁寧な解説が用意されているものもあるため、プログラミング初心者でもわかりやすく学習できます。
プログラミングスクールで、「PHP」だけでなくCakePHPの使い方を学ぶことも可能です。
相応の時間や費用が必要ですが、講師にいつでも質問できる環境が提供されるスクールもあるため、独学よりも効率よく学べます。
共に学ぶ仲間がいるためモチベーションを保ちやすく、独学では挫折しやすいとされているプログラミングを学習するには有効な手段です。
本記事ではCakePHPの基本的な機能や使い方、注意点などを解説し、インストールする手順を紹介しました。
CakePHPはWeb開発を誰でも簡単に効率的に行えるフレームワークであり、日本だけでなく世界中で広く使われています。
PHPを学習している方はCakePHPを使うことで、効率的で質の高いWeb開発ができるでしょう。
オープンソースで誰でも利用でき、公式のドキュメントが豊富で学習がしやすい点から、初心者がこれから学ぶPHPのフレームワークとしておすすめです。
CakePHPでつくられたサービスは数多く存在しているため、WebサイトやWebアプリケーションの開発に携わりたい方は、この記事を参考にぜひCakePHPを学習してみてください。
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