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最終更新日: 2024.01.25 (公開: 2024.01.25)

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?デジタル化との違い、取り組み事例について解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?デジタル化との違い、取り組み事例について解説

DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用し競争力を高めることで、日本企業にとって現在実現すべき事柄のひとつです。本記事では、なぜDXを実現することが重要な課題なのか、DXが注目される理由、DXを進める際のポイントについて解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとは、企業がAI・IoT・ビッグデータなどのデジタル技術を導入し活用することで、企業風土の改善や新規ビジネスモデルの構築・レガシーシステムからの脱却などを実現させ競争力を高めることです。

書類のペーパーレス化などのアナログをデジタル化するだけでなく、テクノロジーを用いて事業に変化を起こすことで、大きな利益を生み出す仕組みを構築していきます。

経済産業省が定義するDX(デジタルトランスフォーメーション)とは

経済産業省では、「デジタル技術と蓄積されたデータを活用して、組織文化・風土、業務プロセスを変革して顧客や社会の新しいニーズを解決することで、企業が変化の激しいビジネス環境に対応できる競争力を確立すること」と定義しています。

DXという言葉が生まれたは2004年とされていますが、経済産業省が2018年のDXレポートや2021年9月のデジタル庁設立で、行政でも使用されはじめ広く普及しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とデジタル化の違い

デジタル化とは、デジタル技術を用いることでビジネスの効率化や付加価値の付与をおこなうことです。一方でDXは、ビジネスの現場にITやデータを導入することで経営戦略や業界の仕組みを変革することです。

たとえばデジタル化には、既存のシステムの単純なデジタル化をおこなうデジタイゼーションや、ビジネスプロセスをデジタル化するデジタライゼーションなどがあります。しかしあくまでDXの手段のひとつであり、これらを含めた変革で自社の競争上の優位性を高めることが目的です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目される理由とは?

DXが注目される理由は、以下の通りです。

  • 2025年の崖の影響
  • DXを阻むレガシーシステムとIT人材の枯渇

ここからは、これらの理由について解説します。

2025年の崖の影響

DXが注目される1つ目の理由は、2025年の崖の影響です。2025年の崖と経済産業省のDXレポートで提示された言葉で、2025年以降になってもDXを実現できなかった場合に大きな経済損失が発生する懸念を指す言葉です。

経済産業省は、もし日本企業がDXできなければ世界のデジタル競争に勝てず、稼働するシステムの維持管理費の高騰や、サイバーセキュリティに関する事故・災害で、毎年12兆円損失すると予測しています。

DXを阻むレガシーシステムとIT人材の枯渇

DXが注目される2つ目の理由は、DXを阻むレガシーシステムとIT人材の枯渇です。経済産業省は、日本企業でもDX推進の取り組みは進められているものの、成功には至っていないケースが多いと警鐘を鳴らしています。

日本企業のDXを阻害する要因として、既存システムの老朽化と人材不足があげられます。経済産業省のDXレポートによると、約8割の企業が老朽化したシステムを保有しており、約7割の企業がDXの足枷だと感じているという結果です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の現状

2021年と比較すると、2022年は日本企業全体でDX推進に取り組む企業の割合が増加傾向です。しかし、大企業はDX推進に取り組む企業が全体の4割ほどなのに対し、予算の確保が難しい中小企業では全体の1割ほどとなっています。

ビジネスの場にITを導入することで事業変革を起こすことが求められるDXは、売り上げ規模の大きな会社ほどその取り組みは活発ですが、小さい会社は取り組みの割合も低くなるという傾向にあります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の4つの課題

DXの推進には、主に4つの課題があります。

  • 経営層のDXへの理解・取り組み不足
  • IT人材の不足
  • 旧来のレガシーシステムの問題
  • ベンダー企業との関係性の問題

ここからは、これらの課題について解説していきます。

経営層のDXへの理解・取り組み不足

DX課題の1つ目は、経営層のDXへの理解・取り組み不足です。企業がDXを推進するには、DXの意味やな取り組みの意義について、経営層が正しく理解すべきです。

経営層がDXの正しい知識を持ち、現場にDXの本質や取り組む意義を浸透させていくことが、企業のDX実現には必要になります。

IT人材の不足

DX課題の2つ目は、IT人材の不足です。IT知識のある人材が不足している状態では、DXの実現は難しくなります。システム業務をベンダーにまかせっきりでは、自社で技術やノウハウの蓄積や成長が見込めません。

また、IT人材の不足は日本社会全体の問題でもあります。少子高齢化による人口減少やIT需要の急速な高まりによって、日本のIT人材不足はさらに深刻化していきます。

旧来のレガシーシステムの問題

DX課題の3つ目は、旧来のレガシーシステムの問題です。レガシーシステムとは、老朽化しブラックボックス化した既存のシステムを指す言葉です。レガシーシステムを放置してしまうと、システムの運用に大きなコストが掛かってしまい、新たなIT技術への投資も難しくなるでしょう。

新たな技術が登場するにつれ、システムの老朽化・ブラックボックス化は進んでいき、運用の負担は大きくなっていきます。既存のシステムを見直して、レガシーシステムからの脱却を図る必要があります。

ベンダー企業との関係性の問題

DX課題の4つ目は、ベンダー企業との関係性の問題です。コスト削減や安定したビジネスのみを目的とし、ベンダーを利用しつづけることもDXの推進を阻害する要因です。

自社のシステムの機能改修やバージョンアップをベンダーしか実施できず依存関係が続くと、自社のIT人材育成や新しいシステムの導入も難しいでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める4つのポイント

DXを進めるポイントは、主に4つです。

  • 組織全体でDXを進めよう
  • DX人材を確保しよう
  • 新しい開発手法を導入しよう
  • データを活用しよう

ここからは、これらのポイントについて解説していきます。

組織全体でDXを進めよう

DXを進める1つ目のポイントは、組織全体でDXを進めることです。DXを進める上で、経営層や他部署・自身の所属する部署で合意を得て取り組むことが必要です。もし理解を得られない場合、各部署間での連携が上手く取れないために行き詰まってしまうケースが多くあります。

デジタル技術を活用し業務プロセスの改革や新しい経営モデルへ移行するには、経営層が正しい理解を持つことや社内での理解と部署間での協力が必要です。

DX人材を確保しよう

DXを進める2つ目のポイントは、DX人材を確保することです。デジタル社会において、DX人材は企業競争力を高める上で重要な経営資源です。しかし、日本企業においてDX人材は大幅に不足しており、その中でも高度技術を持った人材となるとさらにその数は少なくなります。

DX人材を確保する方法としては、採用によって外部からの人材を確保する方法と、既存の社員に人材育成を実施し、DX人材として育て上げることで確保するという方法があります。

新しい開発手法を導入しよう

DXを進める3つ目のポイントは、新しい開発手法を導入することです。DXは一度取り入れたら終わりではなく、時代の変化に応じてビジネスモデルや開発要件を変革させていく柔軟さが求められます。

技術やユーザニーズの変化に対して柔軟に対応するためにも、アジャイルの原則やデザイン思考などを取り入れて対応をしていくことが重要です。

データを活用しよう

DXを進める4つ目のポイントは、データを活用することです。経営における意思決定をデータに基づいておこなうことは非常に重要で、近年その注目はより高まっています。

しかし日本企業の中には、データの収集はおこなっているものの、その活用方法を見出せていない企業も多くあります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例

DXの成功事例には、以下のようなものがあります。

  • AR診断アプリの使用で建機の稼働率低下を抑制
  • ワークフローシステムの導入により稟議期間を短縮
  • 注文フローをデジタル化してコスト削減と顧客体験価値向上を実現
  • 消費者にモノを売るサービスの変革を実現

ここからは、これらの成功事例について解説していきます。

AR診断アプリの使用で建機の稼働率低下を抑制

DXの1つ目の成功事例は、AR診断アプリの使用で建機の稼働率低下を抑制です。建設機械・農業機械メーカーである株式会社クボタは、海外現地における販売代理店の修理対応が、担当者によってバラつきがあることを課題としていました。

そこで株式会社クボタは、ARを活用した診断アプリKubota Diagnosticsを販売代理店向けに開発し提供を開始しています。

機械が故障した際に視覚的に原因を認識できるこのアプリの提供によって、建機の稼働率低下の抑制を実現できたのと同時に、サポートの業務効率化も成功しています。

ワークフローシステムの導入により稟議期間を短縮

DXの2つ目の成功事例は、ワークフローシステムの導入により稟議期間を短縮です。光学機器メーカーである株式会社トプコンは、マルチデバイスに対応していなかった旧型のワークフローシステムから、さまざまなデバイスに対応をしているワークフローシステムAgileWorksに変更しました。

その結果、開発業務の標準化や申請業務の大幅な効率化に成功し、2023年5月には経済産業省が定めるDX認定業者に選定されました。

注文フローをデジタル化してコスト削減と顧客体験価値向上を実現

DXの3つ目の成功事例は、注文フローをデジタル化してコスト削減と顧客体験価値向上を実現です。ニューヨークに本社を置くハンバーガーチェーン店のShake Shackは、従来の注文システムから脱却し、プッシュ通知機能やレコメンド機能が備わった事前注文アプリを開発しました。

その結果、レジスタッフ分の人件費を削減できただけでなく、顧客単価が15%向上し、現在も検証と改善を繰り返しながらサービスの拡大を目指しています。

消費者にモノを売るサービスの変革を実現

DXの4つ目の成功事例は、消費者にモノを売るサービスの変革を実現です。大手ネット通販のAmazonは、DXの世界的な成功例ともいわれています。

Amazonは、消費者が商品を閲覧するまでの行動から商品のレコメンドまで、あらゆるサービスをデジタル化することで消費者にモノを売るサービスを大きく変革しました。

その後、さまざまなECサイトが立ち上がり競争率が増加した際には、ワンクリックで商品が購入できるシステムを開発し、特許を取ることで競争上の優位性を獲得しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)は最重要課題のひとつ

DXはデジタル技術を活用し、企業風土の改善、新規ビジネスモデルの構築・レガシーシステムからの脱却など、事業のあらゆる面の変革が求められます。これにより、競争上の優位性を確立することが目的です。

経済産業省は、2025年以降になってもDXを実現できなかった場合、大きな経済損失が発生すると公表しています。

DXは、日本企業にとって実現すべき最重要課題のひとつです。組織全体での協力やDX人材の育成・確保をおこなうことで、DXを推進しなければなりません。

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